自然のポテンシャルを享受する住宅
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日本のパッシブデザインの第一人者である著者が、「自然に開かれた家-太陽や風といった自然のポテンシャルを享受する住宅」について、国内外の事例や環境計画の基本をわかりやすく説明した一般向けの入門書です。
エネルギー頼みの環境制御が限界に来ている今日、著者は単なる地球環境問題としてではなく、自然を享受することの快適さという視点からエネルギーに頼らない環境制御の重要性とその魅力について説いています。
日本の環境に合った伝統的な日射制御技術に、蓄熱・遮熱等の技術を組み合わせて年間通じて安定した熱環境をつくるなどの具体的な提案をあげ、ハイブリッドな手法で環境にも身体にもやさしい最適解を導き出そうという姿勢が強く貫かれています。
著者がその技術をあえてデザインと呼んでいるところに、氏自身が実感しているパッシブデザインの魅力と普及に向けての自負心を強く感じるとともに、人間が自然に対してどのように共生していくのかについてのひとつの方向性を感じることができる書籍です。