和辻哲郎と本書を持って奈良へ行こう
★★★★☆
和辻哲郎の「古寺巡礼」は非常に魅了的で、若い感性で奈良の寺社を訪れた印象を躍動するよう書いている名著と思います。 しかし、訪れた寺社は唐招提寺や薬師寺と少なく、その点が不満でいたところ、京都編に続き、この奈良編が出たので早速求めてみました。和辻哲郎が、仏教美術に力点をおいて説明するのに対して、本書は奈良に埋もれた歴史に言及しながら寺社を解説していて、違ったアプローチです。 歴史解説書としても興味深く読みました。 本書で取り上げられた、あまり知られていない寺社に、行ってみたい気持ちになりました。著者は、奈良の寺院の楽しみ方には、少数の寺院を隅々まで知るか、隠れた寺社を訪ねるかがあると述べていますが、本書は、後者の参詣者にはまさに格好の入門書と言えます。ただ、関東人の私は奈良の地理に全く不案内。 まず、鉄道地図が必要でした。