サイコロ 3156 スゴロク 4569
★★★★★
まあ、タイトルは遊んだだけです。特に意味はありません。
私は戯言シリーズでサイコロジカル(上)(下)が一番好きだったので、こうしてレビューさせて頂きます。
全体的なトリックについては既存作と被っているモノがあって、
大して一作目を読んだ時ほどの衝撃はなかったのですが、
いやはや、今作は実に登場人物の心情が判りやすくて良かったです。
哀川さんは切り札(著者の)というか逃げ道(著者の)ですか、そうですか。
もう5作目(レビューをしているのは全巻読破後)だから慣れた…のかもしれませんね。
サイコロって訊いて最初に思いつくギャンブルは丁半ですが、
子供たちがサイコロを振るのは今日だと双六とかの遊戯くらいですかね。
マスによっては、振り出しへ戻る、とかそういうことにもなっちゃう双六。
作風で言えば変わったのは三作目だとは思いますけど、
作品を振り出しに戻した――転換期を迎えた――のは、間違いなく今作だと私は確信しています。
玖渚含め、著者の天才に対する偏見がシリーズ全体を通して面白い。
というか、読んでいる私が天才でなく凡人だからこそ、そう感じるのかもしれません。
だから文豪なり天才の皆さんにすれば、シリーズ全部糞つまらないと思います。
そういった方々は、一生この本を読まない方がいいと思います。
しかしどうしてか世の中は、凡人>天才、だっていうのが不思議ですよね。
多数決だったら天才に勝てるぜ!
どーでもいいことなんですけど、どうして人生ゲームのラストは天国or地獄なんでしょうね。
そこに向かってサイコロなんて振りたくないですよ全く。
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★★★★☆
西尾維新の「戯言シリーズ」その4の下巻。
上巻のラストで現れた磔死体の殺人容疑で監禁拘束されるいーちゃんたち。運良く檻からの脱出に成功するが研究所からは出られない。この状況を打破する策はそう、真犯人を見つけだすことのみ。
ミステリの体裁は一応とれてる。4時間というタイムリミット付きという状況下で推理し、実践を繰り返して導き出す殺人の可能不可能で犯人を特定し、登場する研究員たち一人一人にコンタクトを取っていく様子は読み手にとってはハラハラさせるなかなか楽しい構成だ。なぜかいーちゃんと行動共にする石丸小唄も味方としては(作中で言うところの)十全であっただろう。
本編後半にはいーちゃんの生死の境をさまよう事態が勃発。
(モノローグも饒舌な)いーちゃんのモノローグでは玖渚への本音が漏れる。
そして最後にはまたあのお方が参上。
いーちゃんの推理の穴を埋めるが如く完全なる解決を喋ってくれる。というかこの人は全シリーズに登場する気なのだろうね。個人的にはレアキャラと捉えてるんだがこれじゃあレア度が下がるよ(笑)。
ともかくこの『サイコロジカル』は天才たちの生き方が描かれているが、第1巻の天才たちに比べればインパクトも個性も弱い。だが大垣志人などの人間っぽいキャラクタもそれはそれで魅力的だ。
なんとも『戯言遣い』らしい
★★★★☆
『戯言シリーズ』の4作目で,上巻と同じく02年11月のノベルスの文庫化です.
前作にておおよそ確立された感のある,主人公の『戯言遣い』というキャラクタ,
それがこの下巻ではさらに突き抜けた印象で,解決編においての畳みかける物言い,
言葉には出ないものの,内面を語る場面での『言葉の波』にはただ圧倒されるばかり.
また,事件はなんとか解決し,主人公らの目的もとりあえずは達成となるものの,
それらはあまり重要でなく,すべては上巻からの『答え』を探すための『時間』で,
それに気づき,その上で彼が返す『答え』は,なんとも『戯言遣い』らしいものです.
ただ,行動に時間的な制約を受けている割には,今ひとつ緊張感に乏しい印象で,
ほかにも,主人公とヒロインの過去のことなど,かなり気になることが語られるも,
やはりなにも明かされないため,興味とともに不満と消化不良感も膨らむばかりです.
なお,ノベルス版との違いは,カラーの扉絵と同じデザインのしおり,アトガキで,
表紙袖の前口上だけは,これまでと違いノベルス版の背表紙の言葉が使われています.
余談ですが,後日談などで前作からのちょっとうれしいゲストが登場しています.