本書は、より実践に役立てられるよう、いくつかの特徴を持っている。まず、分析や思考の方法にとどまらず、効果的な情報収集法や、収集したデータをプレゼンテーションに使うためのチャートに加工するコツなど、実際のビジネスの流れに即した手法が盛り込まれている。また、問題解決力を身につけるにはトレーニングが不可欠という考えから、巻末の演習問題にもかなりのページを割り当てている。さらに、テキストと連動したCD‐ROMが付属しており、パソコンを使ってテキストの内容に即した講義を視聴することができる。これを活用すれば、通勤の電車の中で本を読み、帰宅してからCD‐ROMで知識の整理をすることも可能だ。
じつは本書は、著者らが運営する通信教育の「経営管理者プログラム」基礎講座のエッセンスをまとめたものである。本書に盛り込まれているのはカリキュラムの一部に過ぎないが、問題解決法の入門書としては、これだけでも充分な内容となっており、お得な1冊と言えるだろう。
これから問題解決の方法を学ぼうと考えているビジネスパーソンや学生にはもちろん、企業の社員研修のテキストなどとしてもおすすめできる。(戸田啓介)