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奈良の寺 ― 世界遺産を歩く (岩波新書)

価格: ¥840
カテゴリ: 新書
ブランド: 岩波書店
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専門家の立場からの「奈良のお寺」紹介 ★★★★★
奈良のお寺の専門家として、奈文研の研究グループの人たち以上の人材を探すのは難しい。

奈文研に集うそのような専門家が結集して奈良のお寺を紹介すると、こんな風になるわけだ。そのような人たちに観光ガイドのような解説を望むのはお門違いである。そんなのがお望みならば、他にいくらでも観光ガイドブックはあるはずだ。

考古学なり古代史なり建築史なり保存科学なりといった専門家の目から見れば、素人には「ただ古くて風情があって」としか形容できないお寺であっても、そこからどれほどのことが読み取れるのか。こうしたことを調べぬき、考え抜く人がいるからこそ、私のような者がボーっと奈良の町を歩いて巡っていられるのだ、とも言えるような。

そう考えてみれば、軽い気持ちで手に取った一般の読み手がなかなか付いていけない専門的な(専門的過ぎる)研究成果や調査報告が各章に並んでいるとしても、それはそれでいいのだろう。そうしたものの存在を知ることによって、奈良のお寺を歩いて見てまわる目が、少しは変わってくるのではないか。
そこにないもの、見えないものに思いをはせる ★★★★★
作家(哲学者)の感性を通して見た、形容詞たっぷりの文学作品を求めておられる方には向かないと思います。

私は、この本に書かれている、土の中にまだ眠っている歴史、
ここまではわかったけれども、これについてはまだ未解明、という報告に、
胸が躍りました。

形容詞は極力排した研究者の文章ですが、読みやすいと思います。

普通の観光客の視線からはあまり見ることがない、建築の木組みや
土台、柱の下に埋められていた宝物、それらが意味するところ、
ほかの社寺との関係、複雑な人間関係などについて、具体的に
書かれており、関連する図書・文献もきちんと紹介されているので
この本をスタート地点として、さらに広く深く読んでみたいと考えています。

発掘が都市化・開発をきっかけに行われてきた様子も感じられ、
世界遺産をこれからどうして行くべきなのか、考えるきっかけとしても
よい図書だと思いました。
「〜世界遺産を歩く」というより「研究こぼれ話」のオンパレード ★★☆☆☆
お堅い奈文研が独立行政法人化の波をかぶって一般読者を意識し出したのはいいこと。しかしその出来はというと、個々の知識・知見の断片的蒐集にとどまっており、各担当者に原稿を割り振り、単にこれを束ねてホッチキス止めしたのとどこが違うの?と聞きたくなる。

副題が「歩く」となっているが、読者という同行者がいるのに、視野に入っているのだろうか? 副題に一般受けする言葉をつらねているが、単なる受け狙いなのではないか。どうも実態がそぐわっていないように見える。
たとえばふるくは和辻哲郎『古寺巡礼』、新しいところでは『法隆寺の謎を解く』(ちくま書房)がある。そこではまず、読者と著者が一緒になって境内を、回廊を、建物内部を歩き回り、臨場感がありました。
この点、この本では副題が「〜を歩」くとなっているのに、臨場感などまるで伝わらない。執筆担当者の研究こぼれ話、とでもいった方が実態に近いだろう。これで奈良の寺歩きが愉しくなるというのは無理な話…。もっとも、高度な知性をお持ちの方は別だろうけど。

それでもそこそこ売れているようだ。奈文研と岩波という権威のの組み合わせからくる安心感、信用なのだろう。一般読者も権威に弱いから、買ってみて面白くなくても、それは自業自得かな(反省)。
一般向け考古学知識書 ★★★★☆
 奈良文化財研究所は日本史、特に古代史をやってる人間は知らない人はいない、と思うほど有名な団体です。奈良全般の文化財の調査・研究のほか、一般向けには平城宮跡と飛鳥にある資料館、朱雀門と称徳天皇ゆかりの東院庭園の復元など、積極的に活動している団体です。

 本屋でこの本を見たとき、あの奈文研が新書みたいな一般向けの本を出してるのか、とちょっとびっくりしましたが。法隆寺・薬師寺・興福寺・唐招提寺・東大寺などと言った南都の大寺のほか、寺ではないですが平城宮跡・春日大社などに関して、発掘調査の結果の中心に奈文研のそれぞれの学者さんたちが書かれた文章を集めてあります。1トピックス辺り、2・3ページほどなので、読みやすいのも特色でしょうか。一般向け考古学知識書って感じです。

 考古学には疎いんで随分勉強になりました。