その「I Should Be So Lucky Fifteen」ではじめて英国チャートのトップに立ってから15年後、本作収録の「Slow」によって、この小柄な生意気娘は7度目となるトップの座に輝いた。誘惑的なエレクトロニカとスパイラルするリズムとハスキーなヴォーカルは、「Can't Get You Out of My Head」にホルモンを注入し興奮させてくれたが、それと同じ魅力的な組み合わせよる「Slow」はミノーグの共作曲であり、このオープニング曲で早くも本作最高の瞬間が訪れる。
多数のソングライター陣が参加しているにもかかわらず、本作には驚くほどの統一感があり、軽快なR&Bを聴かせながら、ほんの少しプリンス・スタイルの1980年代のディスコ調ファンクも織りまぜている。なかでも「Still Standing」では、ベースのきしみ音とシンセの電子音のあいだで「それが欲しいってわかっているはずよ!」と断言している。「Red Blooded Woman」は、ミノーグらしいセンスをひとつ残らず消したごく一般的なポップ・プロダクションではあるが、アルバム全体を通して見れば、公式どおりのファンクや預言的なポップ・スタイルよりも、TVのメロドラマから生き残ったミノーグ独特の存在感の方が勝っている。その結果、まぎれもなく本作には魔法のような瞬間が訪れている。(Christopher Barrett Amazon.co.uk)