ミューゼ・ド・ロンム
★★★★★
一発でトリコになりました。SFや神話や俗説、映画や童話も織りまぜた上藤政樹さんがもつ自分の世界が漫画という手段でもって展開されます。様々な記号がこれでもかと基礎に組しかれ、読んでいて感じるのは作者のキャラクターや世界観に対する愛情の深さ。登場人物が腹をくくる時につかせる台詞も清々しく、多分に硬派。ある人はあるしない人はない、とっつきにくいアクの深部にくすぐられました。本当に、ある人はあるだろうし、ない人はには全く伝わらないかもしれない。作者はきっとこのシリーズを死ぬまで描き続けるのだろうなと思わせる覚悟がいい。その情念に感動です。