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時代劇は死なず! ―京都太秦の「職人」たち (集英社新書)

価格: ¥756
カテゴリ: 新書
ブランド: 集英社
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時代劇の研究で博士号 ★★★★★
ネットラジオ「談話室オヤカタ」に出演されたのをきっかけに本書を知りました。春日先生は時代劇の研究で博士号をとった本当の時代劇博士。本書執筆の折、取材は客観的に取材を心がけていたそうです。以前から必殺シリーズの推移に興味があり、関連する書籍を何冊か読んではいましたが本書は1960年代後半より斜陽となった映画産業の起こりから絶頂期についても触れられていますが、それ以降のテレビ台頭期より斜陽していく映画産業の中で時代劇に携わっていたスタッフがいかに平成の世まで、その明りを守り育んできたのかを伝えています。

春日先生は本当にまだお若いのですが、彼がなぜ時代劇に興味を魅かれたのか?これは私も同じですが70年代の80年代の傑作時代劇を再放送してくれたテレビ東京お昼の「時代劇アワー」での数々の作品との出会い
があったそうです。基本的に時代劇は勧善懲悪が人気となります。ですが、なぜか時に情念の塊や愛憎、悲哀、胸のかきむしられるやるせない気持ちを「これでもか」と描く作品に巡り合うのです。

そこでエンディングに見るスタッフの名前に関心が動いたのがきっかけだったそうです。正味45分のテレビ映画の中になぜこれほど引きこまれるのか?春日先生はフジテレビの能村庸一氏と知己を得たのをきっかけに旧大映の流れをくむ制作「映像京都」のスタッフと連日の取材を慣行。多くの当時を知るスタッフの声を集め、大映の時代劇に取り組む職人たちの活動と苦悩を聴きとっています。大映では勝新太郎の座頭市への取り組みの凄まじさと、没頭していくが故の周囲との軋轢など。(勝新太郎については2010年単行本を上梓)

東映は家族そろっての東映から、スターシステムに陰りが出てから以降の、生き残りをかけた任侠路線、猥雑な大奥などの路線、そしてテレビプロの活躍、人員整理することなく生き残りを図った太秦映画村の誕生にまつわる話。特に東映の岡田氏の徹底した制作管理は今の東映の作品にも通ずるところを感じます。撮影所の稼働率も映画会社にはあたり前ですが関わる人員をいかに動かしながらきたのかに感心しました。

そして松竹京都映画。本編のベテランが去り若者と年寄りの残った撮影所で70年代、フル稼働で大映の三隅監督や東映の深作監督、工藤監督ら本編の監督との演出を通じての交流。狭い撮影所の所帯を逆手にとった陰影の深い影を生かした照明や、スタジオ内で撮る方が早いというスケジュールを逆手にとった技術の蓄積
や、何より70年代若者のエネルギーが、必殺の作品の中にほとばしることを私も本書を読みながら、唸ってしまった。そして必殺終了以降のフジテレビ鬼平犯科帳の誕生や、他の作品、評価を得た深作監督の劇場作品のことも漏らさず取材している。

春日氏によれば本書は膨大な取材による成果をまとめた名刺的な著書ということだ。折に触れ、時代劇、テレビ時代劇に携わってきた職人たちの様子を著書として発表していくそうです。春日先生出演のネットラジオは談話室オヤカタのアーカイブで1時間にわたり今でも聞くことできます。そして2010年、先ぶれしましたが天才・異才と唄われた天才 勝新太郎 (文春新書)が発売されました。こちらもぜひお確かめ下さい。


建設的意見 ★★★★★
時代劇ファンには大変興味深い本でした。著者は若い方なのに、かなり勉強や調査をし、かつ読みやすい文体で著作されてます。論旨も分かり易い。TVの台頭→映画の低迷=時代劇の低迷→TV時代劇の台頭=時代劇の復活。まさにその通りとは思います。大映などは。特に60年代後半から70年代を、過渡期と論じていて、非常に論の展開が美しいだけに、論理に素朴な疑問がでてきます。時代劇の代表ともいえる「水戸黄門」とかNHK大河ドラマには、なぜ、ほとんど触れず、必殺シリーズなどが、時代劇中興の立役者なのか?戦後時代劇史に、水戸黄門や大河ドラマ抜きにして、時代劇復権論は果たして成し得るのか?著者さんは、時代劇について研究されている方だと書いてます。次回の作では是非ともその点に触れた方が、レベルアップして、単刀直入でない浮き沈みを含んだ深みのある論究になると思います。次も期待してます。でも、大変面白い作品でした。だからこそ、こういう指摘が出てくるのでしょうね。
時代劇をころすな ★★★★★
多少なりとも時代劇が好きだというかたであれば
確実に面白く読めます。

知識の一つとしても、
職人、スタッフさんたちの熱い想いを
うけとめるにしても
お勧めです。

映像スタッフを正当に評価 ★★★★★
 映画やテレビを撮るときに優れたスタッフがいなければ名作はできません。にもかかわらず、スタッフの職人的仕事をきちんと評価する人はなかなか現れませんでした。時代劇においては特に技術スタッフの貢献は大きいと思います。不遇の監督・勝新太郎も含め旧大映のスタッフ、撮影の牧浦地志や森田富士郎、美術の西岡善信、照明の美間博といった黄金のスタッフが、「世界最高峰」のスタッフと評価され、大映倒産後の活躍が紹介されています。春日氏の取材が豊富なことが分かります。いろいろと発見の多い本でした