.NETを通じて、ITアーキテクトに必要な設計技術を学べるシリーズの最後を飾る本書では、大規模アプリケーションでは避けては通れない、データベーストランザクション設計の原則と必要知識がわかりやすく解説されています。本シリーズの他の本と同様に、わかりやすさと技術の深さを同時に実現しているため、全ての開発者・設計者にお勧めできると思います。ただ、トランザクション自体がもともと難解な事柄であるため、多少難易度が高くなっているという印象は受けました。このことは、著者も認識しており、「はじめに」で述べられています。しかし、それでも他の本よりも断然わかりやすく、またトランザクション初心者でも問題なく理解できるように書かれていると思います。

本書では、トランザクション処理の設計、実装方法という比較的高度な話題を、
読みやすい文章と豊富な図解で、非常に分かり易く解説している。
トランザクションの考え方から具体的な実装方法までを、
基礎的なことから高度な話題まで、バランス良く解説しているので、
レベルや目的に応じた読み方が出来るのではないだろうか。
とくに、MS-DTCを利用したトランザクション処理を手がける人には、
必読の書と言っても過言ではない。

ASP.NET向けの解説書であるが、トランザクション処理に対する考え方や設計のノウハウは、
EJB等ほかのシステムの設計や開発でも十分役に立つと思う。

これは本書に限ったことではなく、このシリーズ全般を通じての感想であるが、
難解な内容も著者の説明力（文書の読みやすさや図解の使い方）次第で、
こんなにもやさしくなるものなのかと驚かされた。