陰があったり、クセがあったりする女性たちを描いた短編集
★★★★☆
本書は、「真珠の雫」「つまずく」「ロールモデル」「選択」
「教訓」「約束」「ライムがしみる」「帰郷」8編を集めた
短編集で、小説すばるに初出したものである。
いずれの作品も、どこか陰があったり、クセがあったり、ズレて
いたりする女性を主人公にとり、繊細な心情が丁寧に綴られている。
女性のドロドロした部分や打算的な部分が赤裸々に語られているため、
読了後の印象は必ずしも爽やかなものではないが、著者らしい
読みやすい文体で丁寧に展開していくので、読みやすい。
ビターテイストな大人向けの短編集です。
★★★★☆
唯川さんの作品に登場する女性たちは、簡単に逃がしては貰えません。
心の奥に潜んでいるあまりさらけ出したくない部分を
読者に見せずにはおきません。
優しさはあれど、冷静な目で、そんな彼女たちの様が綴られます。
大人向けのビタースイートな短編集です。
面白かったです。
良かったです!
★★★★★
唯川恵さんの短編集
8つの作品全て(うまいなぁ〜)と思わず唸ってしまう1冊
今、女性心理を書かせたらこの人の右に出る人はいないんじゃないかな…
短編でありながら女性の心の奥深くにある虚栄心・嫉妬心・欲深さなど深い所まで非常にリアルに描かれていて、それでいて文章に無駄が全くない。
8編の中でも「約束」はラストで思わず身震いする様なホラー的要素も含まれていて心に残る作品。
唯川恵作品はやっぱり面白い
面白かった
★★★★☆
唯川さんという作家は、「恋愛のカリスマ」といわれているだけあって、本当に、物語一つ一つが決して似通っている、とか、ワンパターンだ、とかいうのが無く、どれもバラエティーに富んでいて、先が読めない良さがある。この本にある物語も、どれも、とても面白い作品で、読後には、どきっとさせられることもあった。最終章の「帰郷」の父親は、自分の父親にかぶるところがあり、何となく、主人公に同情してしまい、こみあげてくるものがあった。
女の毒
★★★★☆
相変わらず唯川恵の文章は読みやすく、どの物語もさくさくよめてしまいます。
オムニバスドラマを見るような感覚ですね。
さえない姉に頼ったところ、いつの間にか自分の存在を脅かされる女、よき姉のようなつもりで付き合った年下の男性だったが、やがてストーカーまがいの行動に出てしまう女、夫との死別という不幸に出会ってしまう親友を支えるつもりが、立ち直っていく彼女に嫉妬を覚えてしまう女、などなど、女なら誰しも「私もそんな要素、持ってるかも」と思わずにはいられない内容です。
読後感は正直どろりとしているけれど、世間話のように「私の友達にさぁ〜こんな人がいて…」と誰かに話したくなるような書でした。やはり女は不幸ばかりを数えたがる生き物なんでしょうね。