教科書には載っていない人物伝
★★★★☆
本書は2部構成となっており、第1部は細川藤孝を筆頭に織豊時代の人物12名を、第2部は伊達政宗を初め関ヶ原の役前後に活躍した同じく12名の人物について書かれています。
「はしがき」に因ると選出規準は特に無く、著者が興味をもったものを取り上げたとの事。
各人物の「生きざま」…… つまり事績を追いながら各所に著者自身の考えが語られている、いわば「評伝集」です。
この様な評伝の場合、大抵は執筆者の好みなどに因り、その人物に対する好悪の感が顕われるものです。
しかし、本著者はさすが歴史・時代小説の大家だけあって中庸な観点を保っており、なおかつ時には読者を唸らせる、正鵠を射た鋭い論評が語られていると言って良いでしょう。
筆者個人としては第1部で取り上げられた松永久秀と、第2部の大谷吉隆(吉継)の評伝が強く印象に残っています。
戦国時代の人物に興味がある方にはお薦めの1冊です。