松本清張原作のサスペンス小説、2度目の映画化作品。1965年の山田洋次監督、倍賞千恵子主演版では、社会派サスペンスの色合いが濃かったが、こちらは三浦友和を狂言回しの新聞記者に起用し、メロドラマ的な要素を強めている。注目すべきは山口百恵の演技で、ヒロインになりきった凄絶な姿は当時のファンを驚かせた。女優百恵の代表作のひとつといえるだろう。兄を関口宏、弁護士を三國連太郎が演じている。弁護士と愛人の関係が、純愛風に描かれている点も、さすが百恵&友和による正月映画という感じだが、作品のできもしっかりしている。(アルジオン北村)