アバドのマーラー作品における最高傑作
★★★★★
7番自体の人気がさほどでもないことから、なかなか評価され難いだろうが、これはアバドのマーラー作品中では最高といえる出来である。思うに、いわゆるマーラー指揮者とそうでない指揮者の分かれ目は、3番や7番といった難解と思われる作品を如何に面白く聞かせるかで判断できるのではないだろうか。彼の3番は持っていないが、この7番を聴く限り彼は現役最高のマーラー指揮者であると確信してしまう。普段、7番は聴かないという人にこそ、是非、観て聴いて欲しい作品だ。
また、ルツェルンの音が初期と変わってきているのも特徴。マーラーチェンバーオケの団員が増えて若返りが進んだためか、透明感のあった初期の音に比べ、やや濁りながらも聴衆を圧倒するパワーを発揮するようになった。カラヤン時代のベルリンフィルを少し髣髴とさせるような、緻密なアンサンブルと音の洪水に浸ることが出来る。今年は彼らの6番がDVD発売されるはず。昨年、東京のライヴでその演奏に接した者としては、この7番に匹敵する出来栄えの6番の発売が、待ち遠しい限りである。
美しくも奇怪な音楽
★★★★☆
大人気のアバド&ルツェルンのマーラー『第7』です。
オケも、いつものメンバーで安心感と親近感がありますね。
20年以上前に聴いた、アバド&シカゴ響の第7のCDに感激していた私にとって、大きな期待感でDVDを購入しました。まず第一印象は『第7はこんなに大きな編成だったのだ』という事。
たしかにマーラーの素オケでのシンフォニーでは最大なんですね。室内楽的な響きも多い曲なので、CDでは思いもよりません。
さて演奏の印象は、ややあっさりしていますが、『美しくも奇怪な音楽』という感じです。
二つの『夜の音楽』よりも第1楽章と第3楽章が良かったです。久しぶりに第7を全曲聴きましたが、この曲がマーラーの曲中、ややマイナーな存在なのを、改めて理解しました。
この曲の持つ、グロテスクさと美しさの交錯には、常人では付いて行けないのでしょう。もちろんマーラーファンにはそこがたまらない所でしょうが・・・。
マーラーを初めて聴く方にはオススメできません。第7が苦手なマーラーファンにはオススメできます。第7が大好きな方には、ちょっと物足りないかも。
出来ればこのメンバーで、マーラー全曲のDVDを完成して欲しい!
ついに出ました!
★★★★★
アバド=ルツェルンのマーラーはいくつか出てきていますが、アバドの得意の曲目といえば、3番、7番、9番です。
9番は既にユーケンド管のものがありますが、7番は初です。待ちに待ちました!
合唱などを含まないシンフォニーでありながら、1時間を越える長大な曲ですが、一部の隙も無い見事な演奏になっています。曲に対する共感も深いです。
演奏の解釈などは基本的にベルリンフィルとのCDとほぼ同じです。オーケストラがルツェルンなので、弦のパワーは多少落ちますが、管楽器のソロなどがより素晴らしいです。
ベルリンフィルとの演奏と比べてもより深みが出た気がします。ともかく、映像として見られるのがなによりうれしいですね。