親父の遺した結構な量のLPを再生するに、アナログプレーヤー
を担ぎ出すのもめんどくさく、しばらく聴いていませんでしたが、
サッチモのベスト盤CD「ハロー・サッチモ」を購入し聴いてい
たら、5歳になる息子が「これは誰のお歌?誰が歌っているの?」
と興味津々。イマドキのポップスにはほとんど興味を示さないの
で、不思議な感じ。
血は争えないのか、それともサッチモはその突き抜けた芸術性
とエンターテイメント性で5歳児すら魅了してしまうのか。
当然のことながら、サッチモ小父さんがディズニーを歌う、親
子で楽しめるこのアルバムも買いです。
聴きなれた「ディズニー」の名曲の数々が、オールド・ファッション・ジャズの衣をまとって蘇ってきました。「ディズニー」の曲そのものが温かい雰囲気を満載していますが、サッチモの飾らない歌声でもっとハート・ウォーミングな懐かしい世界が広がっていきますね。
特に「星に願いを」が良いですね。一言噛み締めるような歌い方で、「夢はきっとかなうだろう」と繰り返されるととても説得力があります。
若い頃、人種差別を受けながらも、ジャズ・トランペッターの第1人者として認められてきました。きっと、いやなことが沢山あったでしょうが、すべてその笑顔で包みこんでしまいます。包容力の大きさまで感じさせる温かい歌声は他のジャズシンガーを寄せ付けません。ヒーリング効果は抜群です。
1968年の録音ですから、サッチモが亡くなる3年前の収録です。後世に残るあの名曲「この素晴らしき世界」を吹きこんだ頃です。当時のアメリカは、ベトナム戦争の泥沼の真っ只中にいました。
そのような世相とは別のウォルト・ディズニーが望んだ「愛と平和の世界」がこの歌声の中に息づいています。この吹きこみの「功績」により、サッチモはウォルト・ディズニー本人より、「オスカー(OSCAR)」像ではなく、ミッキーマウスを模った「Mousker」像を贈呈されています。
ディズニーの曲と彼の声は、とても相性がよいと感じました。(選曲もよいのでしょう)
1曲目のジッパ・ディー・ドゥー・ダーと5曲目のチムチムチェリーは、
特に彼の声とマッチしています。
CDジャケットの中にウォルトディズニーとアームストロングが握手している
白黒写真があり、この写真もとても気に入りました。