威勢のいいタイトル・ソングは、NASCAR(全米ストック・カー・レース)の男臭さが、元気の出る音楽へと姿を変えたかのよう。長距離トラックの運転手たちに捧げられたサザン・ロック風の「Prisoner of the Highway」では、ロニー・ミルサップとのデュエットが聴ける。前者はウィルスの得意とする斬新なリズムを持った曲で、2002年のヒット・ナンバー「Nineteen Somethin'」を思わせるものがある。
しかし、彼がもっとも抜きん出ているのは家族の大切さを説いた心温まるチューンで、中でも「What She Sees in Me」は母、妻、娘にそれぞれ語らせるかたちを取っている。こちらの路線を甘口すぎると感じる向きもあるだろうが、アルバムの最後を飾る「Singer in a Band」はさらにお涙ちょうだい的な内容だ。ここでウィルスはヒーローの肩書きを捨て、傷ついた一般大衆の仲間入りをする。もちろんカントリーなのだが、このジャンルから多くのリスナーが逃げ出していく理由がよく分かる曲である。(Alanna Nash, Amazon.com)