じっくり読むつもりだったのに、あっという間に読了
★★★★★
ジェンキンスさんが米軍を脱走して北朝鮮に行った経緯、
北朝鮮での暮らし、ひとみさんとの出会い、
ひとみさんが日本に帰国した後の事が時系列順に綴られていますが、
私が一番知りたいと思っていたのは、ひとみさんが日本に帰国後、
残されたジェンキンスさん達がどんな心細い心境でいたのかという事でした。
拉致被害者五人が帰国し、
彼らを北朝鮮に戻すべきか否かについて議論が交わされていた当時、
私は「北朝鮮に戻すべきではない」と思っていた日本国民の一人です。
一方で、なんの情報も得られないままひとみさんが帰還しない事を、
ジェンキンスさんや娘さん達はどんなに不安に思うかとも危惧していました。
ひとみさんが家族を裏切ったのだと思っておられたらどうしようかと―――。
私はご一家の最善の道は皆さんが揃って日本に来る事だと信じていましたが、
皆さんの気持ちをひとりひとり直接に訊いたわけではなかったので不安でした。
この本にはその頃のご一家の気持ちが綴られていますが、
日本政府への不信感や誤解はあったご様子ですが、
ひとみさんを責める事はなく、ホッとしました。
ドラマにもなりました
★★★★★
私はドラマを見てから、原作があることを知りました。
彼が北で暮らすようになった経緯、拉致された奥様である曽我さんとの出会い、結婚の時の写真や、他にも写真が掲載されている。
彼らがどんな暮らしをしていたか、他にも暮らしを共にしたアメリカ人とのこと。
彼らにとっては、天と地が変わるほど衝撃的だった日朝協議。
やがては、ジェンキンスさんも北の地を後にすることになるが、アメリカ軍との折衝や、娘さん2人を連れてのインドネシアでの話し合い…。
報道されたこと以外は、全く何も知らなかったので、読んで、そうか、そんなことがあったのだ、と理解することができた。
曽我ひとみさんの愛情、私には彼女のその心がなかったら、今のジェンキンスさん、お嬢さん方の平穏な日本での暮らしは無かったと思う。
他にも、まだ、日本に帰ってきてはいない方々が多くいます。
1日も早く母国に帰り、今までの悲しみや辛さを母国で癒やして欲しいです。
少なくてもお互いという存在だけは得られる http://shuzlog.jugem.jp/?eid=89
★★★★☆
チャールズ・ジェンキンス元軍曹が何故38度線を越えてしまったのか?彼が日本語が出来ない為か、2004年当時のマスメディアの報道はピンと来るものがなく、ずっと疑問を持っていました。
現代に生きる我々には想像出来ませんが、彼の自伝である「告白」(角川書店)によれば答えはあっけなく、「北朝鮮とソ連が友好関係にあると誤解し、ソ連経由米国に戻れると勘違いしたから」(要訳)でした。こんなとんでもない誤解に加え、北朝鮮での「ダメ外人振り」は時にコミカルで不謹慎ながら何度も笑ってしまいました。とはいえ食事や衛生面で生活は悲惨を極め、陸軍が学校備品を略奪するので見張りに立つ子供の話等は、読んでいて辛かったです。
彼に曽我ひとみさんを紹介した北朝鮮政府関係者は、悲しくも真実を強く突いています。「あなたたち二人にとって、この国には何もない。しかし一緒になれば、少なくてもお互いという存在だけは得られることになる。」
彼女との出会いがあったことで、北朝鮮での生活の全てを否定出来ないという彼の想いは純粋で、一読の価値があります。彼が佐渡でたくさんのものを見つけてくれることを祈りつつ。
考えさせられるものがありました・・・
★★★★★
北朝鮮という自由の無い国で必死で生きてきた著者の半生記です。
自分を守り家族を守るため、自分の意思に反してでも従事しなければいけなかった仕事。
米国に、米国国民に、残してきた家族に懺悔しながら生きてきた苦しみ。
読み進めていくにつれどんどん引き込まれていきました。
現代の歴史の一ページを知るにはよい著書だと思います。
謎に包まれた北朝鮮の内部を著者の目を通して垣間見れます。
非常に率直な"告白"です。
★★★★☆
非常に率直に何をして何が起こったのか書いてあった。(もちろん、色々都合の悪いことは書いてないのかもしれないが。)
やはり、拉致被害者の名前が劇的に公開され、その中に拉致被害者として認識されていなかった曽我ひとみさんの名前があり、その夫と言うジェンキンスという謎の人物が登場するあたりの描写が凄い。北朝鮮唯一のニュース番組で事情を一部知り、隠し持っているラジオで、VOAやNHKを聞くなど。
また、どうして北朝鮮に行ったりしたのかの事情も。
(ベトナムでは、アメリカ兵が北側に投降、ソ連経由でカナダから帰国、脱走兵として自首というシナリオがあり、それを真似たと。行った先がホーチミンと金日成で大違い!)