この作品はジェラール・フィリップの没後50年特別企画としてデジタルリマスター版で公開されました。
私も昨年この作品を映画館へ見に行きました。
「赤と黒」は最後にジェラール演じる主人公のジュリヤンが処刑されて終わる事は知っていたので、
正直言って見る前は「ジェラールの代表作だからぜひ、映画館で見なければ」という気持ちと
「最後はハッピーエンドじゃないから見るのは嫌だな」という気持ちが交錯していました。
しかし、見終わった後は「やはり映画館に見に来てよかった！」という気持ちでいっぱいでした。
特にジェラール演じるジュリヤン・ソレルとダニエル・ダリュー演じるレナール夫人の揺れ動く心の描写は素晴らしかったと思います。
また、この当時ジェラールは原作のジュリヤンの年齢よりかなり年上になっていました。
しかし、この役はたとえどんなに上手なジュリヤンと同じ年頃の俳優が演じたとしてもジェラールには及ばなかったのではないでしょうか？
繊細さを表現する事ができても同時に野心を表現するのはまだ人生経験の短い若い俳優では難しかったのではないかと思います。
俳優ジェラール・フィリップは「稀代のジュリヤン・ソレル役者」とも言われています。
それは繊細さと野心を見事に一つの作品の中で表現できた事が大きいと思います。
この作品はカラーのデジタルリマスター版であり、とても50年以上前に作られた作品とは思えません。
「赤と黒」をまだ読んだ事がない方にもお勧めです。

　“ジェジェ”の愛称で知られるフランス伝説のスター、ジェラール・フィリップの代表作中の代表作です。

　お相手が、『うたかたの恋』のダニエル・ダリュー、『二重の鍵』のイタリア女優、アントネラ・ルアルディと、配役にも申し分なし！！何せ、配給会社のセテラ様がジェジェ様没後50年記念作品として、全力を注いでリマスターした大傑作です（ミニシアター系のセテラ様の力の入れようが分かろうというものです！！）

　そして、本作品には、大特典が！それは、イーストマンカラーの映像修復時に、今まで謎とされてきた7分間の未公開映像が、今回初めて含まれていること。丁度、このシーンを拝見した時に、劇場にて、余りの画面の美しさと、初めて見る未公開映像に落涙した記憶があります。

　最後は、下層階級のジェジェ・ジュリヤンが上流階級に憧れ、ダリューを狙撃し、その罪を得て死刑判決を受け入れ、死を以て終わる悲恋ものになっています。黒服の家庭教師のジェジェ様、赤の軍服のジェジェ様、どちらもこの世のものとは思えぬ程、美しいです。男を惚れさせる男の中の男です！

　タカラヅカ・ファンの方々ならば、きっとはまること間違いなしでは？兎にも角にも、掛け値なしにオススメできる傑作です。本編193分。