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ザ・フェデラリスト (岩波文庫)

価格: ¥903
カテゴリ: 文庫
ブランド: 岩波書店
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伊藤博文の座右の書 ★★★★☆
 金子堅太郎、井上毅、伊東巳代治を統率して帝国憲法を起草した伊藤博文の愛読書は、明治三年に政況および財政調査のためにアメリカを訪問した伊藤に、当時のアメリカ国務大臣フィッシュが贈与したアメリカ合衆国憲法のコメンタリー(解釈書)「ザ・フェデラリスト」(一七八七年刊行)であった。

 伊藤博文は明治三年以来、このアメリカの古典的名著に依拠して憲法を研究し、彼ら四人が帝国憲法原案を起草していた時はもとより、明治二十一年から始まった枢密院帝国憲法制定会議の際にも、伊藤はフェデラリストを常に自分の座右に置いて何か問題が生じる度にこれを繰り返し読み、帝国憲法の制定に尽力したのであった。 

 アメリカの占領軍が日本国を民主化したと信じ込まされてきた戦後生まれの日本人にとって皮肉な事に、人民の能力への不信感を率直に表明し、立法機関を厳重に制限し直接民主制を否定しなければならないことを力説するザ・フェデラリストの第四七篇「権力分立制の意味」、第四八篇「立法部による権力侵害の危険性」、第五一篇「抑制均衡の理論」、第六二篇「上院の構成」、第六三篇「上院の任期」、第七八篇「司法部の機能と判事の任期」が伊藤博文の憲法義解への理解と尊敬を深め、勅任の貴族院と皇室の自治を欠く日本国憲法の数々の欠陥を教えてくれるのである。
権力の必要性VS権力の危険性 ★★★★★
今日では当然のごとく日々のニュースで見聞する合衆国の政治制度も、よくよく考えてみればその形成時にあたる建国期のアメリカと世界においては決して当然のものではなかった。諸州を束ねる連邦制を確立するための憲法案には根強い反対が存在したのである。本書『ザ・フェデラリスト』は、A.ハミルトン、J.ジェイ、J.マディソンの三氏が、なぜ連邦制が必要なのかを解き明かしつつ連邦憲法案の批准を世論に訴えるために書かれた論文集である。

読んでいて驚嘆させられるのは本書全体を貫く強烈なリアリズムである。外交・国防・通商・国内政治といった各分野においていかに連邦政府という権力が必要なのかが説得的に論じられるとともに、そのような権力の暴走への警戒は怠らない。州単位の防衛の脆弱さと危険性が連邦による一元的な防衛態勢を要請する。だが、連邦という権力の暴走する可能性に対しては人民は州権をもって抑止する。もし州政治の側が腐敗し僭主政治にとって代わられる場合には人民は連邦を支持することで政治的危機を抑制する。連邦権力と州権のバランスオブパワーによって権力の暴走を阻止し、そこでキャスティングボードを握るのは人民の意志にあるのである。合衆国という政治制度が、国際政治面でのリアリズムのみならず国内政治面においても権力というものに対して恐ろしく研ぎ澄まされたリアリズムによって裏打ちされたものであったことが分かる。アメリカ建国を支えた民主主義・共和主義といった思想を考える上で非常に興味深い一冊だ。安全保障のためなら何をやっても構わないという風潮が米国のみならず世界中に広まりつつある今日、権力の必要性と危険性を巡る本書の極めてリアリスティックな論考は新鮮かつ示唆に富む。
理解が困難な本 ★★★☆☆
この本は当時のアメリカの背景が理解できてないと読むのが難しと感じた。1787年に発刊との事なので,大統領制の前つまり大陸会議時代に発刊されている。「A.ハミルトンは初代(ジョージ・ワシントン)の時の財務長官で1804年に決闘で死去」「J.ジェイは初代(ジョージ・ワシントン)の時の最高裁長官」「J・マディスンは4代目大統領,3代トーマス・ジェファーソン大統領当時の国務長官」だそうだが,「憲法制定会議において作成されたアメリカ合衆国憲法案を批准しない邦である、ニューヨーク邦の市民へ向けて書かれた論文(Wikimedia)」となっているが、当時の「タマ二―派(現在はかなり政治色が強いらしいが)への啓蒙あるいは統一世論作成」の為に書かれたのではないかと感じた。またこの本だけでなく「アメリカ建国とイロコイ民主制」も読んだ方が良いと感じた。(私は政治論争より「民主主義とは」が知りたくてこの本を読んだため)
最高最重要の政治書、全文読むべき ★★★★★
合衆国憲法の産みの親であるマディソン、ハミルトン(ほとんどこの二人が書いた)による最高・最重要の文書がこのような良訳で全文読める(福村判のみ)ことの幸せよ。『英知の最高の神託である経験』に学び、直接民主主義を退け、代表制に共和制の神髄を見、専制を抑えつつも強力な中央政府の必要性を説く彼らのような学識深く真剣な政治家によって合衆国は建国された。
断じて単なる論文の寄せ集めではなくきちんと流れがあるし、通読が必要。抜粋で済ませようという岩波は見識が低い。原文は私には難しい。
連邦憲法の重要性 ★★★★☆
アメリカ独立後、連邦憲法案を受け入れない邦(主にNY)へ向けて書かれた論文。
ハミルトン・ジェイ・マディソンの3人がパブリウス(Pubrius)という共通の匿名の下で憲法解釈や連邦憲法の重要性、そして強力な連邦政府の必要性などを様々な新聞によって市民に訴えた。

難しい本です。アメリカの歴史のみならず、古代ギリシャ史なども知らないと読めないかもしれません。
しかし、建国期のアメリカが抱えてた問題や思想を知るにはいい論文だと思う。