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ハロー、ジーニアス (電撃文庫 ゆ 3-1)

価格: ¥620
カテゴリ: 文庫
ブランド: アスキー・メディアワークス
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近未来、青春もの、読後感良し ★★★★☆
新人さんの作品を買いあさるのが一つの趣味です。

当たるも八卦、当たらぬも八卦な博打な趣味ですが、
今回は当たりでした。

・ボーイ・ミーツ・ガール。
・暴走気味な女の子。
・振り回される男の子。
・怪しげな部活。
という、王道的な要素を用いながら、
それぞれのキャラクターの設定がしっかりと練られていることで、
凡百なその他の作品とはしっかりと差別化できているように思います。

主人公の男の子が、自分なりの筋をしっかりと貫きとおすという点でも
好感が持てました。
(最後の方のあるエピソードは、それがはっきりとわかる点でもよし)

ヒロインの光と影も、上手く表現されています。

サブキャラもいい立ち位置での絡み具合でした。

また、個人的に良いと感じたのは、
近未来の技術を丁寧に挿入することで、未来の世界なんだということが
自然と理解できるようになっていた点です。

そういった諸々の要素が丁寧に編み込まれた良作でした。

近未来、青春もの、読後感の良いものが読みたいという方に、お薦めです。
どっか読んだことある感じで変化球な青春物 ★★★☆☆
ジーニアスの世界を変えるすごい能力ってのはとても学園アリスっぽい。そういった舞台設定の青春物です。

怪我で陸上を断念して迷いを持った主人公が、傍若無人な天才少女になぜかスカウトされて、片付けられない彼女のお手伝いで掃除する。そんなボーイミーツガールなお話です。しかし、主人公もヒロインも自分がやりたいことを探しているようでいて、焦燥感がない。淡白だけど、それが魅力ってわけでもないという不思議な感じです。
イラストのナイロンの漫画同様に、学園青春物なんだけどなんか良くわかんない話ってのが正直な感想です。
どっかで読んだことあるような雰囲気を漂わせつつ、外角低めの変化球(ボール球)といえばいいでしょうか、ストライクゾーンに読み飽きた人には面白いかな。そんな感じのお話です。

なお、ピンナップでは主人公以外の5人が紹介されていますが、そのうち女の子2人はちょっと顔見せ程度であんまり話にからんできません。そして会話も独り言でないのに、「」書きが抜けていたりする箇所がある文章が独特といった印象です。なんというか、変わった作品でした。
期待に応えられない恐怖と絶対の孤独 ★★★★★
 各国が少子化問題を抱えるようになった世界では、その代わりであるかの様に、ジーニアスと名付けられた、これまでとは脳構造からして違う天才たちが生まれる様になった。彼らは生まれた瞬間から自らの特化領域を持ち、その分野において圧倒的な成果を生み出し世界をリードしていく。
 そんな世界で、竹原高行はひざの故障でハイジャンプを辞めざるを得なくなる。特待生としての価値もなくなったため、学園を退学しようとしていたところ、彼の前に一人のジーニアスが現れる。海竜王子八葉と名乗るその少女は、そんな高行を自分が主宰する第二科学部へと勧誘する。
 勧誘の理由は釈然としないものの、好奇心と怖いもの見たさもあって、退学までの残りの一ヶ月を第二科学部で過ごす事にする。しかし、高行がハイジャンプときっちり決別できていなかったことが、彼らの活動に致命的な障害をもたらすことになるのだった。

 才能や資質が生まれた瞬間からある程度は判別できてしまうようになった世界。少子化世界ゆえ、子どもたちは比較的早く社会の一員となることが求められ、それを実現するために、選別された才能の予言を受け入れ、その道に進むようになる。これは普通の人間でもそうなのだが、八葉はその筆頭格だろう。まさに世界の変革者として期待され、あるいは疎まれている。そしてそれに応えられないことは恐怖でしかない。
 対して高行は、自らの意思によってハイジャンプを選び、そしてそれだけに打ち込み、トップクラスの成績を残してきた。それゆえ、その拠り所をなくした瞬間に進むべき道がなくなる恐怖を感じ、それを他者から突きつけられることを怖れて、自ら身を引こうとする。
 この両者の感じる恐怖は、全く方向性が違うようでありながら、性質的には良く似ている。その目は他者を意識していながら、自らは孤独を感じているのだ。これは、そんな二人が自分たちの本質に気づき理解していく物語であるとも思う。

 中盤過ぎまでは、イベント発生型ストーリー展開というか、まずイベントが発生するカットがあって、そこから会話が発生するという様な、ある種のゲームの様な進行の仕方になっていることが特徴である気がする。しかし、終盤になってからは様々なキャラクターの筋が終結し、きっちり物語を終わらせるために転がり始めた印象がある。おかげで、次の展開への広がりが生まれたと思う。
 続巻があるかどうかは分からないが、個人的には読んでみたい。
これはいい青春物語! ★★★★★
電撃文庫からの新作。作者は新人さんでデビュー作となりますが、なかなか面白いお話でした。イラストも作品の雰囲気とマッチしていたように思います。
主人公の竹原高行は、第三学園都市に陸上のスポーツ特待生として通う高校二年生。しかし、足の故障のためにもはや走り高跳び選手「ハイジャンパー」としての道が閉ざされてしまった。もともと無愛想であることに加え、部活動で好き勝手に振舞っていたことも災いし、部員たちに故障のことを言い出せず、ただ無為に過ごす日々。そんな彼の前に現れたのが、ある特定の分野ですさまじい才能を発揮する人間「ジーニアス」の一人、海竜王寺八葉。第二科学部部長として彼をスカウトしに来た彼女に対し、とある理由から一ヶ月間の仮入部を了承することに。散らかし放題好き放題の海竜王寺に振り回されつつも、彼女の実験の助手(雑用)としてともに過ごすうちに、世界を百年単位で進歩させてしまう「ジーニアス」の生の姿を知り、そして彼女という存在に惹かれるようになっていく。
上記からすると普通のラブコメのように見えるかもしれませんが、中身は青春ものです。少なくとも、異性に対する恋情というものは双方ともにはっきりとは持っていません。舞台としては、最近流行の学園都市ものです。足の故障でもはや飛ぶことが出来なくなってしまった竹原は、まさに翼の折れた鳥。陸上部のエースから取り得の無い凡人へと堕ちた彼は、自暴自棄になるでもなく、不幸を嘆くでもなく、ただただ途方にくれる。陸上こそが自分の生きる道であると十数年頑張り続けていたのが水泡に帰してしまったわけですからね。ゆえに自分の価値を信じることなく毎日を無為に過ごしていく。一方のヒロイン、海竜王寺八葉(すごい名字だ・・・)。口調は完全に僕っ子ですが、このとびきり美人というわけではない、どこか野暮ったさを感じさせる姿がいいですね。それでいて妙に魅力を感じさせる人柄に思えます。美的センスの残念さも面白い。彼女の寝巻きはすごいですよ。
竹原を半ば強引にスカウトし、一緒に実験を進めていこうとした彼女が秘めていた想いは、純粋で気持ちのいいものですね。住む世界が違うと思っていた彼女が抱えるものに触れ、そして自分を信頼してくれる彼女に応えるために自分の問題に決着をつける竹原の姿もまたいいものです。そのために起こした行動は、ベタかもしれませんが、青春そのもの。「過去の自分を弔う」という姿勢が好きです。主人公もヒロインもいいなぁ。ちょっと他のキャラの出番が少ない気もしますけどね。伏線も少しあるみたいですし、シリーズ化して欲しいものです。今後の活躍を期待できる新人さんと思いますし、星五つつけさせてもらいます。