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Wonderful Town: New York Stories from The New Yorker (Modern Library (Paperback))

価格: ¥2,398
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Modern Library
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 「帆柱に縁取られたマンハッタンほど、威厳に満ち、賞賛に値するものが他にありうるだろうか?」 1885年、情感豊かなウォルト・ホイットマンの驚嘆の声である。以来、細長いマンハッタン島と4つの独立区からなるニューヨークは、作家たちを魅了し続ける。その魅力をうまくまとめたものは、『Wonderful Town: New York Stories from the New Yorker』以外にはそう簡単に見つからないだろう。デイビッド・レムニックが前書きで述べているように、雑誌の創刊当初の「ニューヨーカー」は、都会での暮らしにあまり重きを置いていなかった。ハロルド・ロスも、創刊にあたり発表した趣意書の中で、フィクションについては触れていない。ところがその後の数十年で、ロスとその後継者たちは、ニューヨークを描いた短篇の傑作を数多く世に送り出した。そのため、レムニックによると、作品選びは実に困難を極めたらしい。「忙しい人、楽しい人、怒っている人、愉快な人、口うるさい人、用心深い人など、この街には収まりきれないほどいろんな住人がいる。同じように、みんなが納得できるものを選ぼうとしても、この1冊ではとうてい収まりきれないほど、作品は多岐にわたっているのだ」

   そのようななかで選ばれたのが、ジョン・チーバー(「The Five-Forty-Eight」)やジェイムズ・サーバー(「The Catbird Seat」)、メーブ・ブレナン(「I See You, Bianca」)、アイザック・B・シンガー(「The Cafeteria」)、ジャメイカ・キンケード(「Poor Visitor」)をはじめとする、優れた作家たちである。「ニューヨーカー」の読者といえば裕福、毛皮といったアップタウンのイメージが強いが、初期のアップダイクから中期のタマ・ジャノウィッツに見られるように、「14丁目以南」も多々登場する。といっても、ここで問題にしているのは単なる地理的なものではなく、作品における都会的精神だ。この短篇集では、多様でありながら、共通点も併せ持っているニューヨークが描かれている。そう言われれば、ジョン・チーバーの戦後の楽園と、アン・ビーティのヤッピーの溜まり場が、かけ離れたものではないこともおわかりいただけるだろう。ジェイムズ・スティーブンソンによる、洪水に襲われたニューヨークの様子を見てみよう。

いま私たちは屋根の上にいる。時間はまったくわからないが、日が出ている。丈の低いビルは水中に沈み、企業の高層ビルは高く押し寄せる波から顔を出している。まるで墓石だ。セントラルパークの方角には白波がたっている。パンアメリカン航空のビルのそばにしばし停泊していた一隻の遠洋定期船は沖へ向かった…。天窓のあたりで水が渦巻いている。風向きが変わる。大西洋からは波がまっすぐ押し寄せてくる。

   この世の終わりを思わせるような大災害の後でも、ニューヨークはかたくななまでにニューヨークであり続ける「すばらしき街」だ。そしてこの本は、その街を賛歌するすばらしいコレクションである。