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花街 異空間の都市史 (朝日選書785)

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本(ソフトカバー)
ブランド: 朝日新聞社
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「花街」を通して見た近代都市史 ★★★★★
「花街」と聞いて何を想像するだろうか。

いわゆる風俗街のことを思い浮かべるかもしれない。その場合、遊郭・娼婦・売春といった言葉が連想されるだろう。

もしくは、江戸時代以前に遡る芸妓や芸事の伝統(例えば京都祗園のような)を連想するかもしれない。

それらのイメージが本書で論じられている「花街」とまったく無関係だというわけではない。しかし多くの「花街」は、いわゆる「遊郭」とは別個に、近代の都市形成と密接に関わる「街のインキュベーター」として作り出され、そして消えていったと位置づけられる。東京・大阪・神戸を主な事例として語りだされる「花街」の形成史は、そのままそれぞれの近代都市としての形成史であり、都市開発を考えるにあたって見逃されてきた一側面が鮮やかに描き出されている。「花街」に対する評者の従来のイメージも、その多くが思い込みに過ぎなかったことを教えられた。

要するに、本書はあくまで著者の専門とする文化地理学・都市史の本であって、風俗ライターのレポートや性暴力・人権問題といった側面からアプローチする研究とは相当に趣を異にする。その点については誤解なきよう。

いずれにせよ、近代都市の形成や近代の日本社会を考えるにあたっては参考になるところの多い、なかなかの良書である。
都市研究の空白を埋める ★★★★☆
知っているようで知らない花街。行ってみたいが敷居が高く行く勇気もない。
結局、本で読むしかなかったが、これまでのものは主観的な本が多く、
やたら物語性やドラマ性にあふれすぎ、神秘性ばかりが強調されてきた。
本書は、都市研究の立場から冷静にかつ丹念に花街の歴史を調べ上げたもので
あり、そこから都市に渦巻く人間の姿や都市の役割を浮き彫りにする。
ここまで客観的に調べたものはこれまでなかった筈だ。読み応えがあった。
いきもすいもない 資料集 ★☆☆☆☆
~花街 はなまち かがい ? 男に限らず食指のある題名ですが、まるでお役所の行政調査資料集の抜粋版。読むべきところは一章と文献一覧。終章に日本各地の花街を見てきたがとあるが、研究室の中から文献をみたのでしょう。まるで宇宙衛星からの写真や地理情報、実存感がまったくなし。多分作者はこの本に登場する花街の10分の1も実際に立ってないでしょう。ま~~して、上がったことも至極稀と。花代も自腹でこそ身につくのです 人聞きは無粋 野暮の極地 ひいては今 花街に住む生きる遊ぶ人には、、、、失礼千万。多くの文献 といっても明治以降が殆ど。せめて江戸時代はお勉強していただかないと。序章にある伝統景観などという言葉使ってはいけません。よくもまあ資料集調べていますが、これも借用や学者の実証研~~究。証拠固め。たまに意見があれば筆者以外からのお話。結論、文献データの並び替えにしか過ぎません。これだけあればサブタイトル異空間の都市の答えがあるはずですが、これもありません。こんな文化地理学が都市政策のバックボーンとして存在し、あげく景観、風景とかご高論を持ち出し、観光資源として引っ張り出す。今の殺伐とした潤いのない街にした 都~~市計画の一因を実証しています。書を捨てよ、街へ出よう て言葉ありましたな。~
近代都市の光陰をあぶり出す傑作 ★★★★★
近代都市研究の新たな傑作が登場した。
筆者加藤氏は、『大阪のスラムと盛り場』(創元社)で、都市が近代化するなかでひっそりと消し去られていった「悪所」や「貧民」たちの生きられた空間を追跡している。

今回世に問うたこの『花街』も、都市の近代化によって生み出された空間をあぶり出そうとしている。加藤によると、「花街」と聞くと、春を売る「遊廓」を想起する人が多いのだが、本書で注目する「花街」は概念上は「遊廓」とは別個の「芸」を売る芸妓たちの空間である。だから、本書のタイトルを聞いて「遊廓」を求めてはいけない。

本書でまず、加藤は地図を用いながら目に映ずる可視的な空間としての花街を提示し、それが近代の都市空間の生産と結びついていることを分かりやすく説いている。本書が「歴史地理」を掲げるゆえんの一端とも言えよう。その後、大阪、神戸、鹿児島などの具体的な花街の様相が提示されていく。これを通して、わたしたちは近代都市の中で生み出され、消えゆく空間へと誘われ、想像することになるのである。

都市空間にたしかに存在したにもかかわらず忘れ去られていった人々、それを取り巻く社会状況を露わにする加藤の姿勢は、前~~著から一貫している。そこには、政治的権力も介在する。加藤の研究に、かつて社会学者吉見俊哉が『都市のドラマトゥルギー』で見せた視点を感じる。難を言えば、文章は上手いのだが、上手いが故に言い回しが少し難しいところだろう。しかしそれを上回る内容となっていることは請け合いだ。

花街は、芸を売る芸妓であり、春を売る娼妓とは別物であるが、本書の端々には、そうした概念上の区分を乗り越え、両者が混在する曖昧な部分が存在することが窺える。次作にはいわゆる「遊廓」をもあぶり出すのだろうか。今後に期待したい。