(概要)すでにOSS(オープンソースソフトウェア)はあらゆる機器で使われています。今後,
IoT(Internet of Things)機器が普及すれば,数百万台から数百億台というオーダーでOSSが各デバイスで使われるようになります。
本書では,10数年にわたりOSSライセンスを業務面で関わりのある著者が,OSSライセンスの正しい理解,そして我々が何をすべきか,何をすべきでないかについて解説します。企業規模が小さく法務面や知財面で恵まれない現場の方に,OSSを適切に利用するためのヒントが満載です。
(こんな方におすすめ)・OSSライセンスを体系立てて理解したいエンジニア
・自社製品のOSSライセンスの扱いなどを調べているマネージャ,法務担当者
(目次)第I部 基本編 OSSとOSSライセンス
第1章 オープンソースソフトウェアの基本
- OSSの過去と現在
- OSSのもたらす自由と自由を得るための条件
- 利用許諾を得るプロセス
- OSSの定義
- 第1の大きな誤解
- 第2の大きな誤解
- OSSは正々堂々と公明正大に使う
- OSSは「利用する責任を負うコスト」がかかる
- Linuxディストリビューターの登場
- OSSの利用責任は利用者にある
- 誰がOSSを理解すべきなのか
- OSSを利用する意義
- 内製する,既製品を使う,OSSを採用する
- 内製,既製品,OSS ── 選択の指針
- 演習問題
第2章 ソフトウェアライセンスの基本
- ソフトウェアと著作権
- ソフトウェアライセンスの本質
- OSSライセンスの要諦
- 商用ライセンスとOSSライセンスが選択可能になっている場合
- 著作権の観点から見たソフトウェアの類型
- OSSライセンスは既製服に似ている
- OSSライセンサーの思いを知ることの重要性
- 法務・知的財産権の専門家に任せておけばよいわけではない
- 頒布のタイミング
- コラム 「頒布」の意味
- 頒布の事例から考えてみる
- 組み込みシステムやIoT デバイスは頒布の機会が圧倒的に多い
- 演習問題
第3章 寛容型ライセンスと互恵型ライセンス
- ライセンス問題を考える
- OSSライセンスを読むヒント
- 寛容型ライセンスとは
- 寛容型ライセンスの意外な落とし穴
- 互恵型ライセンスとは
- GPL/LGPL──互恵型ライセンスの代表
- 寛容型ライセンスと互恵型ライセンスの比較
- 演習問題
第4章 寛容型ライセンス──TOPPERS,MIT,BSDとApache
- TOPPERSライセンス
- TOPPERSライセンスのまとめ
- 大学の名前が付いたライセンス(1)MITライセンス
- MITライセンスのまとめ
- 大学の名前が付いたライセンス(2)BSDライセンス
- BSDライセンスのまとめ
- Apacheライセンス
- Apacheライセンスのまとめ
- 演習問題
第5章 互恵型ライセンス── GPL/LGPL共通
- はじめに
- 頒布時に守るべき4つの事柄
- ソースコードはソースコードだけではない
- GPL/LGPL 他に条件をつけてはいけない
- 利用許諾されたOSSと渾然一体となったソフトウェアの扱い
- ライセンス両立性問題
- コラム ソフトウェアの保守,脆弱性の視点も大切
- 利用許諾条件の緩和
- GPL/LGPLのまとめ
- 演習問題
第6章 誤解されやすいLGPL
- LGPLを理解するためのポイント
- コラム 静的ライブラリと共有ライブラリ
- インライン関数
- LGPLのまとめ
- 演習問題
第7章 GPL/LGPLバージョン3とAGPLバージョン3
- 再インストール情報開示
- 差別的特許の禁止
- その他の特徴
- GPL/LGPLバージョン3のまとめ
- AGPLバージョン3
- AGPLバージョン3のまとめ
- 演習問題
第8章 GPL違反を考える
- GPL/LGPLライセンス違反についてのFSFの見解
- GPL/LGPL違反で訴訟は起きているのか?
- 演習問題
- コラム
第II部 実務編 ソフトウェア開発とOSS
第9章 OSSと構成管理
第10章 OSSライセンスと知的財産権
第11章 ソフトウェアのサプライチェーン問題
第12章 製品出荷・ソフトウェアリリース時の実務
第13章 OSSと社内体制
第III部 戦略編 OSSイノベーション戦略
第14章 新しい技術層の登場── 縁の下の力持ち技術層
第15章 独自技術のOSS開発
第16章 イノベーションとOSS