既成概念がくつがえされます。
★★★★★
今までの巌流島の対決時の武蔵が武蔵の人生の中で最強というマスメディアに植え込まれた
固定観念が見事に気持ち良く打ち破られます。
武蔵は少年期の初めての真剣勝負の圧倒的ともいえる驚異的な精神と身体操作を、
青年期、中年期になんとかして蘇らせるべく、昔といえどもまれに見る回数の真剣勝負を
あれだけ繰り返したんだという説を説いていきます。
著者の唱える身体理論を元に非常に明確に説得力を持った解説には
引き込まれるように一気読みしてしまいました。
著者も幼少期に信じられないほどの身体操作の感覚を体験しており、その体験を
追体験するべく修業を重ねているがまだ到達しえていないといったことも初めてあかされ
とても興味深い内容で、読み応えたっぷりでした。
合気道や大東流をやられている上級者の方などは身体がゆるみリラックスしていることの
重要性がわかると思いますが、武蔵は圧倒的なゆるみの中にいたからこそ、
達人だらけのあの時代においてもあれだけの真剣勝負を切り抜けてきたと
いうのが分かると思います。
武術を極めることに情熱を注ぐならすますゆるみリラックスすることが絶対条件だと
強烈に認識せざるを得ないでしょう。
ゆるむことへの啓発をされる素晴らしい読み応えのある一冊でした。
あくまで個人の感想ですが武道、武術を志す方なら著者の理論が一番の近道だと思います。