インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

旧体制と大革命 (ちくま学芸文庫)

価格: ¥1,575
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
Amazon.co.jpで確認
政治学・社会学としての古典 ★★★★★
 フランスの思想家であり、政治家でもあったアレクシス・ド・トクヴィルが、晩年に残した1856年発表の著作。本来の構想ではこの文庫に収められている部分は前編にあたり、後編が書かれるはずだったのが、発表の三年後に著者が死去したために前編のみが後世に残ることになったそうだ。

 構成としては、まずイギリスの学術誌に発表した論文が置かれ、次に本来の「前編」が続き、トクヴィル自身による注解も収録され、訳者の解説で締めくくっている。注解は100ページを越す濃密なもので、本文で触れられた事項を具体的な例で解説している。訳者解説も、トクヴィルのバイオグラフィー、「アメリカのデモクラシー」の内容、本書の内容という三つの事項を解き明かしてくれる秀逸なものだ。

 本文についてみてみると、最初に収録されている部分と本論では明らかに文体が違い、最初の部分はなんとも意味が取りづらい。それに比べて全三部に分かれた本論は引き締まった論述が続き、非常に読みやすく、鋭い洞察に貫かれている。是非、本論から読むべきだと思う。

 内容については、フランス革命が既存の社会状態を破壊したという通説に対して、旧体制の時期に社会状態は既に破壊され続けていたという事実を、旧体制下の行政資料や古文書を読みこなして証拠として示すことによって証し立てる、という趣向をとる。地方の自治を消滅させ中央集権を強めようとする行政権の肥大と税制の恣意化・免税特権の拡大、聖職者の権力への追従、農民や下層階級への負担の増大、貴族やブルジョアの政治への無関心、中産階級の富の追求、そのような現象の一つ一つが階級相互の協力や理解を妨げ、それぞれが孤立化し、敵対し、それゆえに他の権威に絶対的庇護を求め、その点でお互いが似通っていき、それでも相互に敵意を抱くといった状態に陥り、結果的にまた中央集権・パリ一極集中が強まるという仕組みのなかで、各階層の人々が出口を求めるように、革命が起こる。しかし、革命後の無政府状態の末に結局は中央集権を呼び込んでしまう。ここの記述は、1848年の政変で政界を追われた著者の思いがこもっている描写になっている。

 全体としてはフランス革命にまつわる思い込みを覆す内容で、エドマンド・バーク「フランス革命についての省察」への反論になっているし、同時に、バークの訴えた国家理念と共鳴している部分もある。一方でアーレントの「全体主義の起原」にも影響を与えたこの著書は、社会的自由が失われていく過程や、政治の弱体化や政治の不在が齎す各個人や社会状態の危機をも教えてくれる。様々な視点で教わることの多い著作だと思う。
やさしくない文章 ★★★★☆
 トクヴィルの文章は決してやさしくない。意味不明な個所がところどころ出てくる。また判然としない個所も多い。講談社文庫と比較してみると、ますます理解できなくなる。それぞれ違った訳をつけているのである。でもどちらかと言うと講談社文庫の方は訳者本人が訳したとはとても思えない訳になっている。なぜ歴史の文章がこんなにも難しいのであろうか。
歴史を書くために ★★★★★
フランス革命分析の古典。その分析の鮮やかさのみならず、民主主義や社会に対する深い洞察に満ちている。