この小説のジャンルを「スリルとサスペンス」という言葉だけでは片づけられません。それこそビジネス、恋、冒険、まるで人生のエッセンスがぎゅっと凝縮されたような、贅沢な小説です。そして何より人間の恐ろしさ、非情さ。時に人間はここまで残酷なのかと思わせられてしまいます。
ジェミーの仲間で黒人奴隷のバンダという人物が登場しますが、彼の運命は南アフリカの人種差別社会に生きる黒人たちの運命でもあります。