ただパロディーしているだけではない
★★★★☆
一言で言えばビートルズのパロディー、確かにそうだろう。
ただし、ある曲のコードに違うメロディーを加えたり、違う曲の一節を持ってきたり、と手法はかなり高度。ピギー・イン・ザ・ミドルにいたっては本家が高音からスタートしてサビまであまり抑揚感が無い曲を低めの音からスタートしてメロディーに変化を付けている。
本家が作り直ししたらこうなるのでは?と、思わせるほどのリスペクトに基づいた作り込みがある。
また、レコーディングにも力が入っていて、各種エフェクトのかけ方などよく研究されている。これは、言い換えるなら有名シェフの秘伝のレシピのスパイスの配合を解読したようなもの。オタク的なまでよく研究されている。
繰り返すが、本家に対する熱狂的なリスペクトがそこにはある。
私はビートルズのどの曲より、ラットルズのダブルバック・アレイという曲が好きです。
ほっぺた緩むでしょ?
ジャケ、オマケは忠実にアナログ盤を再現
★★★★☆
ただし音の方が、まんま前のCDのまま。
カウント付きの「ホールド・マイ・ハンド」や、映像に収録されているロンのソロ曲(足の歌)の収録を期待していたんだけど…
カウント付きいえば「オール・マイ・ラヴィング」にもカウント付き未CD化のテイクがありましたね…まさかそれもパロディ!?
パロディと侮るなかれ!
★★★★★
昔、モンティ・パイソンを見ていたときからのファン?なのでレコードでも聞いていた。まあCDでもまた買ってしまった。このような作品をどのように呼べばいいのか??「パロディ」という言葉では語りつくせない奥が深い世界が繰り広げられております。なんというかビートルズの本質を悟っていないと出来ないような。変な表現ですが、確かにビートルズではないのですがまさしく「ビートルズ」なんですよね。チューリップからバッド・ボーイズさらにトッド・ラングレンまでビートルズもどきは数あれどこのような世界はこれしかありません。
ジャケは☆☆☆☆☆、音は☆☆☆。
★★★★☆
ライノ盤CDも、LPも持ってはいるが、紙ジャケということで即注文しました。
ジャケは文句無し。よくここまで再現したというほどの出来です。
ただしリマスタリング無しというのはちょっと。
次は是非、Neil InnesのOFF THE RECORDとRutland Weekendの紙ジャケ再発を期待します。
まだ聴いていない人が羨ましい
★★★★☆
まだこのアルバムを聴いていないビートルズ・ファンがうらやましい、そんな作品です。
ご存知イギリスのお笑い番組「モンティ・パイソン」のから産まれたビートルズのパロディ・バンド、ラトルズの1978年のデビュー作です(正確には78年の映画"All You Need Is Cash"<ビートルズのヒストリーのパロディ>のサントラです)。
「パロディ」と言っても侮ることなかれ、帯に「数あるビートルズのパロディ・アルバムで音楽的に最も高く評価されている」という風に書かれていますが、実際本家ビートルズよりもいいんじゃないか?と思えるほどいい曲もあります。もちろんパロディとしても非常に高水準です。世の中には「全然似ていないよ?」とか「同じでしょ?」と言いたいもの・また全然笑えない「自称パロディ」が多いですが、ここで聴けるラトルズの曲は原曲との距離の取り方が絶妙で、その微妙なバランス感覚に唸らされます。芸術性とパロディを両立させた稀な作品と言ってよいでしょう。
ということで、「ビートルズの全曲を一応聴いている」というビートルズ・ファンの方なら非常に楽しめると思います(2006年に出た"Love"を聴きながら原曲を探すような楽しみがあると思います)。
なお、この紙ジャケは(以前ライノ社から出ていたジャケと異なり)オリジナルを正確に復刻しているのが嬉しいところですね。オリジナル同様にダブル・ジャケットで、オリジナル同様の16ページのブックレットが封入されています。解説こそ付いていませんが、ブックレットの長い長い英文が全訳されております。CDはライノ社と同じヴァージョン、つまり曲数はオリジナルより多いですが、曲順・編集が異なります。オリジナル・アルバムのは冒頭にSEが入りそれなりに流れを考えて作ってあったはずですが、ここではその辺がオリジナルと異なります。また、比較的面白みに欠ける曲まで全て収録し、「作品」としてのトータル性が薄くなってるように思われます。個人的には内容まで徹底してオリジナルに忠実に作って欲しかったので、この点が非常に残念ですね。この点と価格が高すぎる点で星を減点しましたが、それでも価値ある作品ですし、ビートルズのファンの方には躊躇わずオススメします。