女探偵、七変化
★★★★★
風間光枝探偵譚は大下宇陀児・海野十三・木々高太郎によって戦前、雑誌『大洋』に連載された連作小説9話。連作といっても『江川蘭子』のように1つの筋をリレーで続ける訳ではなく1話読切型なので、全体の整合性がさほど気にならず作者各人の色を楽しむ事ができる。その他海野十三の単独作である風間三千子もの「科学捕物帳」と「蜂矢風子探偵簿」を収録。帆村荘六もゲスト出演。過去、個々の単行本に分散していたり未刊だったものを綺麗にシリーズ・コンパイルした好企画。このところ森下雨村→延原謙→横溝正史と新青年編集長が続いた『論創ミステリ叢書』だが次回は水谷準や、比較的ビッグネームの海野十三、大下宇陀児もやってみてはどうだろう?