決定本ではないが、読み物としては合格点
★★★☆☆
タイトルの二人にとどまらず、アイドル全盛期に発刊された資料を中心に構成された80年代アイドル史についての本。情報量は多く、読み物としては十分。
ただ、不満は残る。まずタイトルに反して中森明菜についての記述が少ない点。これは資料取材に偏った結果だろう(聖子と明菜の資料数に大きな差があるため)。当事者たちの大半は健在なのだから、インタビュー取材によって明菜資料の不足をカバーすべきだった。新書でそれは難しいという人もいるだろうが、それでもしっかりやっている人もいる。
楽曲の解説のウエイトが歌詞に置きすぎているのもいかがなものか。クラシックの評論も出来る人なのだし、もっとサウンド面、音楽理論面からのアプローチもほしかったところだ。もっとも楽譜などを用いてそれを解説するのは新書としては難しかったのかもしれないが、それであれば、もっとアイドル・歌手としての二人や芸能ビジネスのことを中心にした読み物にすればよかっただろう。歌詞の解説だけが浮いている。
そして、大げさな表現も鼻につく。聖子や明菜を表現するのに実存主義だとか構造主義だとか、いささか時代錯誤的だ。60〜70年代フォークでは通用したアプローチがアイドル論で通用するとは思えない。記号論の話も出てきているが、著者自身がアイドルという記号を掴みきれず、振り回されてしまっているように感じてしまった。
このような不満を差し引いても、本の価格の分だけの情報は詰まっているので、興味のある方、特に松田聖子研究をしているような方にはおすすめできる一冊といえるだろう。
名作かつ大作
★★★★★
松田聖子に関しては、非常に詳しく分析されていた。中森明菜との比較、山口百恵氏との比較も優れていた。
ザ。ベストテンのランキング、オリコンのデータを駆使した点もよかった。
80年代はこの二人の売り上げが凄く、ニューミューシ゜ック・演歌よりも売れたことを上手に説いていた。
稲増のアイドル論よりも質的に上であろう。
「本っていいなあ」と思わされた本である。安いのに内容は濃い。
ヒットソングは意外と社会に影響を与えていることがわかった。
★★★★★
80年代には、贔屓のアイドルをヒットチャート上位にのぼらせようとして、せっせとレコードを買うファンが存在した。そのいわば大量のファンというパトロンの資金提供によって、桁違いの才能を持つ各分野の達人が集結した時期である。頂点に君臨したのは松田聖子、松本隆、松任谷由実の3松組であろう。圧倒的な歌唱力を持つ松田聖子、70年代は阿久悠の時代、80年代は松本隆の時代と言われるほど、歌詞という形で日本全体に言葉のイメージを大量生産し続けた松本隆、呉田軽穂という変名でクレジットされているので、聖子の曲を数多く手掛けたことは意外と知られていない松任谷由実、3松組は、「渚のバルコニー」、「赤いスイートピー」、「秘密の花園」、「瞳はダイアモンド」と、松田聖子の代表作を次々に生み出していったのである。特に松田・松本タッグは無敵だった。松本隆は松田聖子の歌詞を138本書いているが、これは、一人の歌手に一人の作詞家が書いた数としては歴代最多である。まさに80年代の時代の空気は、聖子の歌声で松本色に染めあげられたと言っていいだろう。
70年代、80年代のヒットソングの変遷を、誠実な態度によって、文化史として解き明かした本書は、現代日本の文化や人々の価値観を理解する上で非常に参考になるものである。
題名がしっくり来ない。
★★☆☆☆
なるほど・・・・。読み終えての感想は、タイトルは「山口百恵と松田聖子」、もしくは「松田聖子とその時代」にした方がしっくり来る。松田聖子に関しては資料もしっかりしているのかとても詳細に語られているが、中森明菜については本の中に出てきたその他のアイドル達とほとんど変わらない程度の記載しかない。あの時代を思い出すのには役立った本。
最低
★☆☆☆☆
松田聖子と中森明菜とかいてありますが、ほんのなかでは、6:4くらいの割合で
ちょっとがっかりしました。くやしいです。しかし、ザ・ベストテンの順位は、
よく乗っています。ちなみに
近藤真彦 嫌い やだ