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触発 (中公文庫)

価格: ¥1
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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少し急ぎすぎたような気が ★★★★☆
このところ今野 敏の作品を立て続けに読んでいる。
日本の警察者の枠に収まらない、かなりスケールの大きな作品を書く人だと思う。
本作品も、これまで日本で例のない精度の高い殺傷力のある本格的な爆弾によるテロをあつかったもので、そのリアリティ、スピード感、ドラマ性、どれをとっても申し分ない。

ただ、主人公の一人、カンボジア人の母を地雷で失った若き自衛隊員と、テロリストである元外人部隊隊員の日本人の、肝心のこの二人の取り扱いが、どうも表面的というか、類型的でしかも若干同じことをくどく言いすぎ。
この二人だけではなく、本作品では、ある意味中心である爆弾そのものに注力が注がれ、どうも人間の深掘りは今ひとつの印象があった。
このため、事件と爆弾というものに目がいって、急激に事が進むが、細部にもこだわる描写の割にリアリティが若干乏しい印象を受けた。

この、1.5倍くらいのボリュームで、もう少し時間の進みを遅くして、その分人間を深掘りしたら、と思ってしまった。
とはいえ、怖いな。爆弾テロは、怖い。被災者の描写が実にリアルで、怖さがひしと迫ってきた。
限られたページ数に凝縮されたエンターテイメント ★★★★☆
初版が2001年の比較的前の作品ですが、近作『隠匿捜査』の竜崎慎也シリーズ、
樋口顕シリーズから今野敏作品を読み始め今回シリーズ外の作品を初めて読みま
した。本作品はカンボジアPKO、自衛隊、内閣情報集約センター、爆弾テロとよく
取材がされており、好感が持てます。これだけの切り口をよく文庫本350ページに
詰め込んだものだと思いました。これほど風呂敷を広げたからには倍くらいの分
量があってしかるべきなのですが、近年の活字離れを考えると読者層を広げる意
味でやむを得ないのでしょう。

もし、本作品に物足りなさを感じたのであれば、カンボジアの闇については船戸
与一の『夢は荒地を』を爆弾犯や科学捜査の造詣であればジェフリー・ディー
バーの『コフィン・ダンサー』(リンカーン・ライム・シリーズ)をお勧めします。
両作品ともに分量は多いですが、その分ディテール描写が抜きん出ています。
読み物としても本作品が気に入ったのであれば決して期待を裏切りません。

今野敏作品は読みやすさが身上で普段活字に触れていない方にどうやって読ませ
るかに比重を置いて書いていらっしゃるので普段小説を読まない方には手が出し
やすく、なおかつ面白い作家として愛読しています。その分作品数が非常に多い
ので、気に入った分野の作品を読むのが良いと思います。
ラストシーンは緊張感たっぷり! ★★★★☆
 冒頭いきなり地下鉄霞ヶ関駅構内での爆弾テロ事件から始まります。死傷者300名を超える大惨事となったこの事件の数日後、爆弾処理のスペシャリストである岸辺と横井の2人の自衛隊員が捜査本部に送り込まれた。そして捜査に加わった当日にも第二の犯行が渋谷センター街で起きた。岸辺の独自の考えで、犯人は軍隊経験者で爆弾のプロと推理し、その犯人像から一人の男が浮かび上がった……。

 物語では、爆弾テロ事件、犯人の目的、主人公・岸辺の過去……と、見応えある展開が最後まで続きます。命懸けで爆破処理をするラストシーンも緊張感たっぷりに描かれているのですが、爆破シーンではその場面の描写があまりにもあっさりと描かれていたのが残念です。もう少し、怪我人の状態や爆破直後を迫力ある描写としていれば、更に物語は緊迫した印象になっただけに、この点だけが残念です。それでも、事件捜査する警察と岸辺達が少しずつ犯人像に近づく過程や犯人の最後にとった行動など、読ませる作品となっています。