インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

弁証法はどういう科学か (講談社現代新書 (159))

価格: ¥819
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
Amazon.co.jpで確認
“道具視される弁証法”の最高の教科書 ★★★☆☆
意外や意外! 本書のレビューが10もあって、大半が高評価。評者が持っているのは昭和62年35刷であるが、これは現役の新書なのである。

三浦つとむが硬骨の「反・スタ」左翼であり、優れた思想家・言語学者であることは認めるが、今回久しぶりにこのロングセラーを手にとってまず思ったのは、人文学の廃れと全学問の手段化・道具化の淵源が、こうした良心的な啓蒙書にあったのだなということである。

どういうことか?

本書立論の根拠は、当然にもエンゲルスの“哲学終焉”説にある。それは、哲学は科学的唯物論と認識論=思考法則としての弁証法だけが残り、イデオロギーとしての哲学はなくなるというものだ。
それを示すように、本書の第1章「世界のありかたをどうみるか」の扉には、“弁証法を軽視すれば罰なしにはすまされない”というエンゲルスの言葉が引かれている。言うまでもないが、“哲学終焉”説はエンゲルスの所論であって、マルクスのものではないのである(マルクスはそこまで断定していない)。

田坂某なるビジネス書著述家が『使える弁証法』という珍妙な書物を出しているが、本書が弁証法の中身についての優れた解説書であり、田坂某書とはまるで異なる良心的な書物であることを認めたうえで言えば、「科学的」「(社会科学に)利用できる」ことを謳う本書も思考法則としての実用性、実践性を主張することで人間存在(思考)を“科学”に貶める(言い過ぎかなとも思わぬでもないが)少なからぬ役割を果たしているのである。やや牽強付会ながら、こうした事態は、時代を経て今日の人間思考の商品化、消費物化に直結していると思われる。いや、実際、評者は牽強付会とは考えていないのである。

尤も、本書執筆時点の“科学”は現在とはその輝きが今日とは違ったことは間違いなく、時代制約というものに対する後知恵的な断罪は控えるべきではあろう。

それでも、歴史が書物なり理論なりの評価を下すとするのならば、本書が今にして(未だに)持て囃されることの意味は、少し慎重に吟味する必要があるだろう。
本当に「世界は弁証法的な性格をもっている」のか? ということとともに、解説書として明快なゆえに受け入れられることのビジネス文化的意味をも。

それにしても、本書はよくできた入門書だ!! よくできたチャート本やわかりよすぎる書物には、怖いものがあることを知るべきではないか?? それが本書の場合、決して安易なつくりではないから厄介なのだ。
何十年経っても三浦語は新しい ★★★★★
40年前に出会っても深かった
現代、表層的な時代に深い警告
言葉が風化してる現代に、今なお新しい
普通に読めば解る三浦つとむの言葉
よくわかる図解
『日本語とはどういう言語か』も
すばらしい
ものの見方・考え方 ★★★★★
弁証法というのは哲学の分野ですが、
この本は哲学ではなく、ものの見方・考え方の基礎となる本です。
と言っても、三浦つとむさんの本を読んだことのない人は分からないでしょうが、
よくものを考える人、よく本を読む人は早いうちに読んだほうがいいのではないかと思う本です。
他にこの類の本はないですから。
私にとってヘーゲルやマルクスなどは興味ないです。
ハーバード・ビジネス・レビューでも取り上げられた、弁証法 ★★★★☆
本書は「対立物の相互浸透」「量質転化」「否定の否定」という、弁証法の三大要素について、章を分けて解説している。
大胆に要約すれば、「対立物の相互浸透」とは、対立している互いのものの見方を入れ替えることであり、「否定の否定」とは、対立しているものに、さらに別の見方を導入することである。
即ち、弁証論のキーワードである「矛盾」とは、視点を変えることで、違ったものの見方ができる(科学哲学的にはtheory laddenのこと)という意味であり、形式論理学でいう命題Aと否定命題notAの対立関係という意味ではない。
しかし、その「矛盾」の克服方法については、「矛盾のかたちを破壊してそこに存在している必要な部分をすくいとること」との記述があるのみであり、そこは残念である(ゆえに星4つ)。

他のレビュアーの方が指摘されているように、マルクス主義の匂いが随所に見られる。したがって、本書のタイトルである「科学」という言葉も、マルクス主義的な意味で用いられていると推測され、余り気にしない方がよいと考える。しかしながら、1955年初版という歴史的背景を考えれば、致し方ないだろう。読み手が社会主義の失敗というフィルタリングをして読めば、十分読むに値する。

ジャック・デリダの直弟子であるカトリーヌ・マラブー(パリ第10大学哲学部教授)は、日本は元来弁証論的な国であり、欧米の資本主義と中国の資本主義という「矛盾」の止揚を日本が目指すことを期待しているが、評者は弁証法を合意形成学の方法論に組み入れられないかと期待している(出所:Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2007年 04月号 [雑誌])。
また、「木を見つつ森を見る」というシステム科学(System Science)は、多様なものの見方(多様性)を重視し、全体論(wholism)の立場を取るがゆえに、弁証法と親和性がある。こちらの方面でも、弁証法の発展が期待される。
弁証論の入門書として、今日でも価値を失わない著作と言えましょう。
弁証法的世界観の最良の入門書 ★★★★★
 本書は弁証法的世界観を理解するのに最良の入門書と言えよう。

 だが、著者自身、選集第2巻『レーニン批判の時代』の
「弁証法とは何か」で、エンゲルスの規定に基づいて
「思惟とその法則とに関する学」としての弁証法と、
「運動の――外部の世界の運動でもあり、
人間の思惟の運動でもあるところの一つの運動の――
一般的法則に関する学」としての弁証法を区別している。

 世界の弁証法的な性質について理解するために
本書を読んだ後は、
真理に到達するための思考方法としての弁証法を学ぶために
町医者が書いた哲学の本―正しい頭の使い方
をお勧めしたい。