ジェリー・マリガンを代表する名盤だとおもうけれど、なかなかこれ再発されなかったですよね。

マリガンはハッタリの効かない、理論偏重な人だったと思うんです。「理論だけじゃダメだって分かっている理論家」ですね。そういう意味で、ビッグ・バンドといえども、知的にコントロールされており、ベイシー・バンドのような、ダイナミクスを求めるものではないですよね。バンドから自然発生的に生まれてくる重厚なリフ等はもちろんありません。（ビッグ・バンド、というのは結局「歴史」がものを言うのかもしれない。そういう意味でコンサート・ジャズ・バンドは失格ですね）。

だから、「ビッグバンドという名の没個性」を求める人たちから支持されなかったわけですが、やはり、ピアノレスカルテットから見ると、格段のパワーアップしたマリガン・サウンドを満喫できるわけで、基本的にはそういう風に聴かないとなかなか真意をつかみかねる音楽かな―と思います。

最後に、このＣＤ、音が酷いです。ハイ上がりで、ペッタンコになっています。管楽器のアンサンブルの暖かさなど微塵も全然感じられません。ＬＰは未所有比較は出いないのですが、こんなにひどい音だとは思えません。まだまだ、このバンドの受難は続くのでしょうか。

マリガンのコンサートジャズバンドはかれのクァルテットやセクステットをそのまま拡大した感じで、10人以上の大所帯とは思えない軽快なスウィング感が特徴だ。ピアノレスであること、ドラマーがガス・ジョンスン、メル・ルイスといった顔ぶれなのも要因だろう。この粋な感覚が他のビッグバンドにはない魅力になっている。

当盤のメンバーは盟友ブルックマイヤーほかクラーク・テリー、ニック・トラヴィス、ジーン・クイルなどおなじみの面々。アレンジはアル・コーン他。演奏自体スタジオ録音と大差はないものの、スタンダードが採り上げられているのが面白いし、ライヴ特有の熱気がプラスされ、聴き応えのある仕上がりになっている。