短歌を愛する人はぜひ読んでほしい一冊です。
■本書は、中井の短歌論集と詩作を集大成したもので、総頁数800頁超! とりわけ重たいのが、中城ふみ子とのエピソードだ。中城は中井の編集していた『短歌研究』1954年4月号に「乳房喪失」50首で鮮烈に登場し、同年8月に壮絶な闘病の末、他界する。
■乳ガン手術後札幌の病院で入院中の彼女を中井は励ましながら、7月に初の歌集出版にこぎつけるのだ。本書には2人が交わした数十通の往復書簡が完全収録され、読む側を圧倒せずにおかない。
■1993年暮れ、肝硬変で中井英夫は死んだ(享年71)。今改めて2人の志を思う。