古今集がよみがえる
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古文の時間にやった和歌の解説というのは、文末を「・・・なものだ」とやって、分かったような分からないようなまとめになっていた。小松英樹は、これは誤りでであると断じる。しかも、実は歌聖である藤原定家もまた、実は、和歌が読み解けなくなっていたことを教えてくれる。
古今集の原文(古写本)では、和歌は、ひらがなだけの31文字でしたためられていた。漢字かな混じりになったのは、藤原定家の見識によるものである。以来、藤原定家の引いた路線で、いまでも解釈されてつづけている。しかし、ならば、もし、藤原定家の解釈に重大な見落としがあったとしたら・・・。
この本は、藤原定家が見落とした、ひらがなだけの和歌を読み解くためのものの見方を幾通りも解説・解明した歴史的な本である。ひらがなだけという表記法を逆手にとって、自由自在に意味を重ねて、その妙味を味わうのが、古今集の和歌であるという再発見は、今後の和歌の味わいに大きな深みを与えてくれるだろう。
この本によって、教条的な和歌解釈を離れて、和歌の味わい、時を越えたヤマコトバの調べにココロをふるわせて欲しい。そして、新たに発見されているヲシテ文献の読解にチャレンジしてみられてはどうだろうか。