勇気は下着から
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勇気を出して、いつものように
ある時は、彼の部屋で。
またある時は、台風が来襲しているまさにその時、
駐車場に停めたステーション・ワゴンの中で。
そしてまたまたある時には、満月の下の草地で。
女と男は愛の行為に及ぶ。
恥ずかしい気持ちもあり、えっ? 今ここで? という気持ちも当然ある。
勢いに任せて奔放なままに、なんて所作は描かれない。
二人が行為の前に目にするのは他でもない、
裸体よりも先にまず下着だ。それをどうするかだ。
下着を脱ぐことさえできれば、そう、あとはいつもの二人の作業だ。
【著者】
片岡義男
1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始め、74年『白い波の荒野へ』で作家デビュー。75年『スローなブギにしてくれ』で野生時代新人賞を受賞。ほか代表作に『ロンサム・カウボーイ』『ボビーに首ったけ』『彼のオートバイ、彼女の島』など多数。http://kataokayoshio.com/