謎解きミステリーとしとてはイマイチ
★★☆☆☆
<原作未読>
二階堂黎人の短編4作の漫画化だが、謎解きミステリーとしてはイマイチ。
絵柄は完全に少女漫画のそれ。蘭子のファッションを舞台となっている昭和40年代に流行った服装に合わせているのがこだわりだが、昭和の雰囲気はあまり出ていない。
謎解きに関しても、収録作4作中、3作に密室が出てくるのだが、そのほとんどにわざわざ密室にする必然性が無い。特に「密室のユリ」はタイトルにまで付いているのに、最も密室にする意味が無く、謎解きもありがちでお粗末な出来。あの人物にとっては鍵さえ掛けなければ疑われる要素はほぼ100%無いのだから、鍵を掛けずに外部犯に見せかけた方がはるかにメリットがあったはず。また「残されたテープ」という小道具もまるで活かせていないのもお粗末。
残りの作品も二階堂氏らしいと言うべきか、かなり強引な「物理的トリック」が多い。個人的にこういう物理的トリックを使った謎解きはエレガントさに欠けるのであまり好きではない。真相もほとんど予想の範囲内。突っ込み要素も多い。
ミステリー漫画として手軽に見る分にはともかく、本格として真面目に見るとイマイチ。