笑って 泣いて 笑って 感動しました
★★★★★
40代の私としては同年代が主人公のこの物語を読み、はじめは「40代が大学で応援団ってありえないだろう」などと、このスチェーションを冷ややかに思い読み進みましたが、読めば読むほどこの世界にドップリと浸かり、気が付けば声を出して笑い、また感動で涙まで流しておりました。読み始めたら止めることができず、あっという間に読破してしまいました。
その後、重松 清作の本を何冊か読みましたが、他の本の作風はかなり違うようでした。
設定の面白さで期待させるも、終わってみれば良くも悪くも重松節
★★★☆☆
タイトルのセンス、突拍子も無い設定、ぶっ飛んだキャラ立てなどはいかにも荻原浩ワールドなんですが、弱小応援部をめぐる日常を通して世代間ギャップや親子の情、ジェンダー問題を描くタッチは、まぎれもなく重松清の世界です。
設定の面白さは買うのですが、エピソードが多めである上に、各シーンの作り方が良くも悪くも重松清的で予定調和すぎ。要は妙に説教くさい。応援とは何か、を伝えるという点なら「小さき者へ」への方がシンプルで良かったです。
作中で気になった点をふたつ。応援団の凄みを効かすためとは言え、関東の大学のOBにそんなに西日本出身者は多くないのでは。もうひとつ、この本には飲酒シーンが多いのだけど、酒を飲む表現に「呷(あお)る」と「啜(すす)る」しかないのはしつこい。もう少しボキャブラリがあっても良い。
重松節の良い物語です
★★★★★
古風な大学応援団を舞台にしたコミカルな人間劇。とても楽しく、切なくジーンと読ませてくれます。感動しました。
人生の応援団
★★★☆☆
45歳の平凡なサラリーマン藤巻さんが、応援団出身の荒川社長により、あすなろ大学応援団の廃部を阻止するための刺客として大学に送られ、応援団長として奮闘する。があらすじでしょうか。藤巻さんは最初、サラリーマンの出世を天秤にかけていやいやながら応援団に所属するのですが、OBとの触れ合い、やる気のない大学生などなどの触れ合いによって、見事に応援団は体育会の花として返り咲きます。伏線には家族の再生、世代間の交流、ジェンダーなど、さまざまな要素が込められているところはストーリーテラーとして泣かせの部分もふんだんにこめられており、市井の人を描かしたら右に出るものはない重松清ならでは。普段はえらそうな態度で藤巻さんらを厳しく指導するOBたちも、実はサラリーマンとして苦労している話が見え隠れするなど、読み手の世代によっては、父の背中がかいま見えるのではないでしょうか。頑張っている日本のおじさんたちにエールを送る、そんな作品です。