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日米戦争と戦後日本 (講談社学術文庫)

価格: ¥1,050
カテゴリ: 文庫
ブランド: 講談社
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現代日本の礎について考えてみるきっかけとなる一冊。 ★★★★★
現代日本の礎は、良くも悪しくもGHQによる対日占領政策に拠る部分が大きい。米国は真珠湾から半年後には戦後の対日政策の検討をはじめた。  
戦後日本を西側の一員として健全な民主主義国家にするには、米国モデルの移植という事業を遂行するうえで、日本人のこころや伝統に訴える内面を重視しながら大変革を追及したことによって成功を得た。そこには、国務次官グル−をはじめとする国務省の少数の知日専門家の深い見識と理解によって練られ、彼を強力に支援した老練陸軍長官スティムソン、そして偉大なカリスマ・ロ−ズベルトの急逝後を託された実務家トル−マン大統領との微妙な関係の中で実現化された。
ロ−ズベルトによるヤルタの密約のもと、原爆投下をワイルドカ−ドにポツダムでトル−マンを支え、戦後の天皇制の保証への大統領の言質を得たスティムソンの仕事が光る。
そして、もうひとつの視点は、戦後GHQの絶対権力者マッカ−サ−とトル−マン政権下の国務省とのパワ−バランスを巧みに読み、アメリカの懐に飛び込み、卓越した交渉力でサンフランシスコ講和条約締結に至った吉田茂の仕事ぶりである。 

先の大戦と戦後処理において日米の当事者が何を考えどう行動したか。現代史のダイナミズムに光明をあて、新生日本がどうかたち作られたかを、五百旗頭 真の研究と史観を基に一気に書き上げた渾身の一冊である。
米国知日家による日本史観という意味では、E.O.ライシャワ−の著作と併せて読むのも興味深い。
うーん ★★★★★
小泉元首相が読んで、ブッシュ大統領に早い段階からのアフガニスタン戦後復興の計画策定を説いたという。

 第二次世界大戦後の世界を見通した政策を、開戦時から検討していた当時のアメリカも偉大だが、戦後日本のために外交戦に努力した吉田茂はじめ戦後日本の指導者たちにも敬意を表したい。
GHQの研究に関してとてもいい良著ですね! ★★★★★
とても良書です。

一部引用
「原爆投下目標 京都の除外と 天皇制の保障」

トルーマン大統領の政治顧問であったステムソンは
★京都を原爆投下の
優先第一目標としてきた、軍部、国務省の方針に
反対して大統領へ意見を述べた。
米国軍部や国務省の原爆開発の関係者によると
「京都は千年の都であり日本における
知的、文化的中心であるゆえの
日本人に対する★心理的ショックの大きさが重視された。
実施関係者にとっては京都は実験地としては
周囲を山地に囲まれて地形的意味で☆最適であった。」と。

しかし、戦後の日米関係を展望して
そうした京都への原爆投下が残す対米感情の永久的なしこりを考慮して

「このような★無分別な行為によって生じる悪感情は、
戦後長きにわたって日本人が、
★ロシア人で無くわれわれと
和解することを不可能にするかもしれない」

すなわち
「米国に好意的な日本人という
我々の政策上の要請を阻害する」結果となる 。
ステムソンはそうトルーマンに訴えて
京都を原爆投下の第一目標から除外するよう求めて。
トルーマンは即座にステムソンへの同意を、強く表明した。」

またもう一点は★天皇制の問題であった。
「ポツダム宣言」草案では、パーキンス新国務長官の修正によって
天皇制存続に関する言及部分は削除されていた。

24日ステムソンはトルーマンに対して
天皇制存続を声明文から削除せざるを得なかったことへの
遺憾の意を表し、

このうえは
「もし日本人がこの一点ゆえに戦い続けるようであれば、
大統領が外交チャンネルを通じて
口頭で保障を与えることを考えて、
注意深く事態を見守ってもらいたいと思う」と要請した。

トルーマンは、その事は自分も考えており、
そのように取り計らおう、と即座に約束した。



随所に明晰な見解や古典より引用した
文脈が展開されていたり
戦後の日本と米国との関係史での重要な観点や記述があり、
極めて秀逸な論文だと感じました。


現在この方は★厖大の学長でしたですよね。
過去の分析は今後の日本を考える上で示唆に富む ★★★★★
 実証的な分析なのだろうが、読み物風で素人にもわかりやすい。

 小泉元首相が読んで、ブッシュ大統領に早い段階からのアフガニスタン戦後復興の計画策定を説いたという。

 第二次世界大戦後の世界を見通した政策を、開戦時から検討していた当時のアメリカも偉大だが、戦後日本のために外交戦に努力した吉田茂はじめ戦後日本の指導者たちにも敬意を表したい。

 現在は、冷戦も終結し、旧東欧や中国・インドなどが国際経済社会で力を発揮しつつある。戦後レジームとは異なる新たな環境において、日本の採るべき道を考える上で本書は参考になると思う。
戦後日本の初期条件 ★★★★☆
著者は日本外交史の権威であり、特に占領史研究の第一人者。本書は、そのような著者が戦後日本の初期条件としての占領期をクリアーに描き出すものである。

米国はアジア太平洋戦争開戦直後から、戦後構想と対日占領政策を練り始めていた。構想は根強い「ハードピース」論者と「ソフトピース」を企図する「知日派」との間の葛藤、ポツダム宣言を経て、天皇制と日本政府を温存しつつ日本の非軍事化と民主化を進める路線として結実していく。

そのような改革路線を、GHQは日本に対して強制していくことになる。そして吉田茂ら、したたかな日本の保守指導層は、「非軍事化と民主化という強制を積極的に受容し協力することによって浮かび上がっていく」ことを試みていくことになった。結果的にはそのような路線は、敗戦という国民的原体験から要請される平和主義に適うものとなり、戦後の日本の政治外交を規定し続けることになる。

占領期には戦後日本再建を目標とした「日米共同作業」の過程が見られた、とする著者の表現は的確である。確かに、巷で叫ばれるような勝者による敗者への改革の「押し付け」などといった議論がいかに単純であるかは本書を読めば一目瞭然であろう。(著者自身、偏狭かつ単純な「押し付け論」にはかなり批判的である)

今日、「戦後の清算」などといった言葉が軽いノリで叫ばれる。そんな中、そもそも「戦後」とは何だったのか、じっくり原点に戻って考えようという方にお薦めしたい。ダワー『敗北を抱きしめて』、古関彰一『新憲法の誕生』、中村政則『象徴天皇制への道』などと並んで占領期の日本を考える上で有意義な一冊である。