現代にも通用するビジネス書
★★★★★
一言で言うと、とても面白かったです。
ビジネスの現場では手柄の横取り、駆け引き、抜け
駆け、他人への責任転嫁、濡れ衣などは日常茶飯事です。
でも、この本を読んでみればこんなこと、戦国時代から
ずっとそうだったことが一目瞭然でわかります。
しかし、自分ももしそういった現場に出くわしたら、
果たして聖人君子のように振舞えるか自信がありません。
「タイムスクープハンター」なんかでテレビドラマ化
したらメチャ受けて面白いと思います。
文句なく星5つです。続編も期待します!
目の付け所が抜群
★★★★★
本書は、戦国時代に戦功の目安となった、「首」に関わるテーマにした短編集で、「頼まれ首」「間違い首」など何れも首が付くタイトルの6つの短編が収められている。
主人公は何れも北条家の名もない下級武士で地味な設定だが、内容はどの作品も抜群に面白い。戦国時代の下級武士にとって武功の証である「首」を取るか取らないかは、運命の分かれ目となる。従って、例えば戦場で自分が倒した武将ではない「首」がころがっているのを見つけた際にそれを拾って自分の手柄とすべきかどうか、など思わぬ事態に遭遇した場合にどのような行動を取るか逡巡する主人公の心が読者によく伝わってくるのだ。
どの作品も面白く読んだが、個人的に一番気に入った作品は、最後のどんでん返しが小気味よい「雑兵首」だ。
映画化を期待したい
★★★★★
「首」というちょっとオゾマシイようなタイトルで、恐る恐る読み始めましたが、率いられるように一気に読んでしまいました。「首捕り」などという現代とは別世界の話のようですが、生首ではないものの今の社会でも同じような人間の戦いがいろいろな政治やビジネスの場面で繰り広がられていると思います。TVドラマか映画で観れれば、きっと多くの人に感動を与えられる作品ではないでしょうか。
忘れる事の出来ない、そのタイトルと物語。
★★★★★
「首」。
それは命がけでなければ手に入れる事の出来ない、戦場での唯一の手柄の証拠。
一兵卒にとっては出世と名誉のための、得難い宝物。
本書は、そのような「首」を巡る兵卒たちを扱った全6話の短編小説集。
それぞれ30ページ前後でまとめられた物語は、どれも読みやすく各話2〜30分ほどで読めた。
また、首一つを盗んだり、捨てられた首を拾ったりして自分の手柄にする事が、当時は死罪に値する事をこの本ではじめて知った。
そのような重罪にもかかわらず、自らの出世やプライドのために、首を不正な手段で得ようとしたり、手柄を立てたとウソを言ったりする人間達。
そんな者達の愚かさや悲哀、しっぺ返しを受ける姿が、心に残る。
どれも戦国時代の関東を舞台にした物語であるが、その中で語られている不正や誘惑などの落とし穴、そしてそれらに翻弄される人間の弱さは、現代にも通じるメッセージ性を持っている。
現代では、それで命を奪われる事は無いだろうが、「クビ」にはなるかもしれない。
長年ビジネスマンとして活躍し、今はコンサルティング業をしているという著者の、人間観や仕事観が表れている作品だと思う。
前半と後半では出来が違うような...
★★★★☆
前半の3作 <頼まれ、間違い、要らぬ> に関しては、7〜8割り方は楽しめたが、題名から物語の落とし所が
読めてしまった。
どうせ奇譚なのだから、題名を裏切るような、さらなるオチを勝手に期待したが、あっさり予想通りだったので、
ここまでは☆3.5〜3.75位の感想
(例えばですけど、<頼まれ> は最後に影武者の首であることが露見したとか、
<要らぬ>では 魔利支天の同じようなお告げを聞いた侍が、相手方にもいて、それが偶然出くわすとか、
期待したんですが...)
もちろん最近読んだ戦国物の中では、武将同士の命のやりとりなど、ワクワクさせてくれると点では、
真保裕一の[覇王の番人]と並んで面白かった。
後半の3作は、前半を上回り、最後まで楽しませてもらいました。
でも、最後の<拾い首>に関しては、手巾の方法は清右衛門の開発した手法ゆえ、当然逆転の方策が...
と期待したのですが、これもあっさりで、ちょっと残念。
ところで102P [...百貫文をいただきに...]とあるんですが、約束は十貫文、あわよくば二十〜三十の
はずだったんですが、百になっているのは、これは単に吹っかけた、と言うだけの事なんでしょうか?
次回は是非、この筆力を活かした更なる戦国ダークファンタジーが読みたいものです。