電子部品が容易に入手しにくくなった昨今、真空管を使った電子工作もしなくなった自分だが、読んでいるうちに少年時代手に汗を握りながら製作にふけった頃がよみがえってくる。そういえば５球スーパーの残骸でAM送信機を作ったりもした。特殊な部品を必要としないで送信機を製作する技術、ノウハウは多くの製作経験の産物である。いままでの私の製作の多くは回路図を含めた製作記事を参考にしたものである。回路図を理解するためには、まず作ってみることである。作っているうちに真空管回路の工作は決して楽ではないのがわかる。自分の頭でどういうふうに配線したらいいか考え（回路図どおりに配線しても成功しない場合もある）、工具の使い方を覚えたりして、そして世界にたったひとつしかない作品を完成させるのだ。何か作ってみたいと思ったとき本書はその第一歩を導いてくれるのに違いない。

近年、かつては高嶺の花であり、廃れつつあった真空管式ラジオ、アンプの人気が高まりつつあり、新刊の刊行が相次いでいますが、本書はその中でも、とりわけ、初心者にも理解しながら製作を進められるように配慮されています。数々の実例を本にアドバイスされており初心者の方にもわかりやすいのではないでしょうか？