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13のエロチカ (角川文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 角川書店
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もっと濃密な世界を構築して欲しかった ★★☆☆☆
雑誌「マリクレール」に連載されたものを纏めた短編集。作者特有の土着性ホラー味は無く、日常に潜む一般人の官能への入口を描こうとしたらしい。

一話一話が短いせいもあるが、土着性に満ちた作者独自の世界を期待する向きにはアッサリし過ぎている感がある。性愛小説でもない。主人公の相手は、祭りで出会った年上の見知らぬ女性だったり、異国の旅先で列車に偶々同乗した年上の男性だったり、「愛」が欠けている。単に「性」の悦びが発露される状況を幾つか考えました、と言う印象。

雑誌連載と言う事で、分量制限があったと思うが、数は少なくても良いからもっと濃密な世界を構築して欲しかったと思う。
官能小説 ★★★☆☆
女性が描く官能小説集。そんなに下品ではなく、逆に爽やかな印象を与える作品もある。なんというか、ソフトな官能小説集というしかない作品集。
身体性と想像力の狭間で目覚める性の物語・・・ ★★★★★
 男性の性は時空を越えて飛翔しているように見えても、実は卑小な想像力の表層に由来しますが、女性の性は身体の奥深くで異次元とつながっているような気がします。
 でも、それもまた男性が勝手に抱くファンタジーなのかも知れず、実は女性の性もその想像力に由来する部分が小さくはないのでしょう。
 坂東真砂子さんと言えば、『山妣』『蛇鏡』『死国』『狗神』『桃色浄土』『曼荼羅道』『善魂宿』『蟲』など、日本の土俗的な舞台を巧みに設定し、その中で抑圧されつつも昇華されていく性と生を描いた作品の数々で知られています。
 そうした作品群と並べると、現代的な舞台設定の中で展開する本書は少し異色で、ここに収録されているのは、自分の身体の奥底から湧き起こってくる性に戸惑いつつも受け容れていく若い女性たちについての13個の物語です。
 でも、よく読むと土俗的な脚色を利用した坂東さんの主だった作品群とも通底する部分が多く、逆に舞台設定における仕掛けが少ない分だけハッキリと、坂東さんの主題がよく見えるような気がします。
エロティック ★★★★☆
10代の男の子の性を描いた「ホップ・ステップ」がめちゃ
エロティックでした。
欲求不満と初体験の描写が、ありえないのにリアリティーを
感じます。これはツボにはまりました。
可もなく不可もない官能小説集 ★★★☆☆
坂東真砂子は高知県出身の作家である。つい先日も高知新聞にスローフードとナショナリズムについての論考を寄せていた。同紙に小説の連載もしている。この作品は彼女のこれまでの土俗ホラーとは一線を画する官能小説集である。「幼児性愛」など所謂禁断の性を扱ったものも含まれているが不思議に卑猥な感じはない。イタリアを背景にしたものが5篇、どれも南欧の地でファンタジーを解放させる日本女性の微妙な性意識がスタイリッシュに描かれる。男性を主人公にしたものは2篇だが、結局いずれも女性が主導的役割を果たす。

 今後人気作家による官能小説は流行になるとふんでいるが、これはまずまずの出来だ。問題は、どれもが似たような展開の話で、読後感がほぼ同じであるということと、若干オリジナリティーに欠けるところであろう。精神と肉体を取り巻く人間心理の深奥に迫るというところには程遠く、それは今後に期待したい。