大野雄二ならではの1枚
★★★★★
CM作曲家としても過去活躍していたという大野雄二である。著書である自伝でも述べているとおり「いろんな種類の音楽を片っ端から聞いてきた」というだけあって、さすが経験豊富、スペインのイメージそのままが音楽で表現されている。本作のTVSPの舞台は主に、バルセロナ。
バルセロナはスペインにある都市である。曲名がスペイン語表記されているのはそのためである。
私が個人的にこのCDで気に入った曲は、10曲目の「autobahan crises 〜アウトバーン・クライシス〜」である。曲名はこのようになっているものの、実際はルパン三世のテーマのアレンジである。TVSPの中では、ルパンが車を軽快に運転し乗り回すシーンに用いられているのだが、実にそのシーンとよく合っている。また、このようなルパン三世のテーマのアレンジはこれまで無かったものである。軽快で、かつスペインチックで、激しくて。
この曲の16曲目に収録されている「sagrada familia 〜サグラダ・ファミリア〜」であるが、本TVSPの放送後に日テレへ「あの曲はなんだ!?」と問い合わせが殺到した曲である。反響がものすごく、聞いて感動したという視聴者から多数の問い合わせが寄せられたという。このことは一部でニュースにもなってしまったほどであった。大野雄二は、NHK組曲「小さな旅」の作曲者でも知られるとおり、組曲も書くことのできる作曲家である。この「sagrada familia」も組曲であるが、大野雄二によって、大野雄二だからこそ、アニメのサントラとしての領域を超越した曲が出来上がったのであった。
このサントラは、過去のルパンサウンドと比べると全体として異質な雰囲気がある。JAZZではないルパンサウンドの世界が広がっている。