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うらなり (文春文庫)

価格: ¥540
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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スピンオフはスピンオフ ★★★☆☆
夏目漱石の「坊ちゃん」の後日談を脇役の目から描くというもの。
「坊ちゃん」は読んだのだが、かなり以前のことで漠然とした印象しかない中で読んだ。
なので正直なところ、全く別な物語として読んだに近い。
その中では正直なところ、薄い感動しかなかった。
とつとつと流れる時代と舞台を前に「うらなり」と評された人物が明治、大正、昭和と生きていく様だ。
悪くない物語ではあるが、特になんとも。
やはり「坊ちゃん」の....というところに、面白みがあるのだろう。
独立した物語としても楽しめると良かったのかもしれないが、そうなると「うらなり」っぽくなくなるのも確かなことかも。
漱石の悲しみ小林信彦さんの哀しみ ★★★★★
小林さんは、おそらく、紋切りや、予定調和、流行に乗ることや、多数意見に賛同すること
通俗的解釈に対して、恥の感情を持っている作家であろう。

それを承知であえていうと、これは、主人公を、坊ちゃんから、うらなりに代えた
スピンオフ小説で、『坊ちゃん』が、痛快青春小説だとする説に異を唱え
『ドーランの下に涙の喜劇人』的な小説であると解釈した上で書かれた小説である。

上記は、もちろん僕の拙い解釈で、これですべてが語れているとは思わないで欲しい。

ぼくは、この小説を読んで、ハラハラと涙が流れたけれども、涙が流せるのは、
男で、しかも、年寄りで、しかも未練がましい、やつだけかも知れない。

なお、ひとつだけ、僕が、この本で傷があると思ったのは、後半に添えられた
「創作ノート」の中で、坊ちゃんを「B型ヒーロー」だと、断じるところである。
血液型の判断は、座興ならまだしも、この本にはそぐわない
可もなく不可もなく ★★★☆☆
著名な文学の愛すべき登場人物を主人公にした作品で、文学賞を受賞したというので読んでみたが、どうということもない読後感である。原作は誰もが知っているので最初から登場人物はつかめる。あの本を異なる切り口から解いてみたらたらこうなる、という一つの例といえる。ほかの登場人物、例えば赤シャツや堀田の視点から語らせることもできよう。
昭和9年から振り返るという発想は面白い。五十台後半らしいうらなりは肝硬変で先行き長くないことが暗示されているが、堀田は戦後何歳まで生きたのだろうか、とか想像するのも楽しい。
赤シャツらが制裁を加えられる原作の結末は、昔読んだときはただ痛快と思っただけだが、考えてみれば今なら暴行傷害で刑事事件になっているところだ。維新からまだ三十数年の頃だから武家の空気がまだ残っていたのか。
ただ、新しい解釈とか驚愕の裏話があったとかの新鮮な感動はない。あくまでも地味で小心なうらなりの後半生という本である。
幸福な時間。 ★★★★★
単行本も読みましたが、文庫も読みました。
幸福な時間を過ごせました。
漱石の作中人物・うらなり先生の視点から書くという
天才の発想としかおもえません。
今度は「我輩は猫である」をクシャミ先生の視点から書いてほしいです。
『うらなり』 ★★★★★
著者の名を見て、これは面白いだろうと思った。読んでみて、やはり期待に違わず面白かった。主人公は『坊っちゃん』に登場する気の弱そうな「うらなり」というアダ名の英語教師で、物語は彼が昔の同僚の山嵐(やまあらし)に何十年ぶりかで会うあたりから始まる。彼は古い家柄の跡取り息子であったが、今は故郷の松山を離れて対岸の姫路に住み、土地の名士の端くれぐらいにはなっている。子供も立派に成長し、孫もいるが、妻に先立たれて、彼は今独身である。対する山嵐先生は江戸っ子のベランメエで、思慮分別に欠けるところがあり、それだからこそ話がポンポンと進んで気持がいい。うらなり先生は坊っちゃんから君子(くんし)と評された人物。著者は、二人の違いを見事に書き分けている。漱石の『坊っちゃん』を読んだことがない人は、一度読んでから、この作品(『うらなり』)を読むとよい。