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二都物語 (上巻) (新潮文庫)

価格: ¥662
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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悪くない ★★★★☆
片思いを寄せる女性の夫の身代わりになって死ぬ…
というのは、いかにも陳腐なメロドラマではあるし、構成は軽薄ではあるのだが、主人公のシドニー・カートンが、なかなかどうして、魅力ある男性なのである。
純粋さを隠したカートンと、ディケンズの浪花節に乗せられて、かなり興奮しながら読み進めてしまう。

カートン一人が浮き上がって見えるのに対し、他の主役級の登場人物たちは、ほとんど紙人形のごとき平板さであるが、たくましいミス・プロスや、薄気味悪いマダム・ドファルジュなど、脇役のあくの強さも印象的である。
フランス革命時、貧苦にあえぐ民衆が、荷馬車から落ちて壊れたワイン樽に群がる様子の描写などは、一定の迫力がある。

下巻に収録された中野好夫による解説は必読。
信念を守り、生きる姿は感動を与える ★★★★☆
ストーリーは、フランス革命期を舞台にしているが、
歴史小説ではなく、文学的だ。世の潮流と運命に翻弄され
ながらも、自分の信念を守り、生きる姿は感動を与える。
映画化できるだけの内容ある作品。
フランス革命の負の面 ★★★☆☆
フランス革命を題材にしているので劇的な展開を期待して読んだ。確かにフランス革命の暗い面はよく描かれてると思うが、偉大な達成がさっぱり描かれてない。この本を読んでこれがフランス革命かとは思ってほしくないかも。ディケンズは何かと感傷的になったりドラマチックに盛り上げようとすることが多いような気がするが、この本でもそんな印象を受ける。話の展開は先が読めてしまってちょっときつい。フランス革命の激しかった一面を知りたい方にはおすすめ。
義理と人情 ★★★★☆
なんだか聖書の引用が多くて説教臭い面もあるけれども、
さすがはディケンズ。犠牲愛物語なんぞ膾炙しているに
もかかわらず、読ませる。ニヒルな「山犬」がかっこいい。
ちょいと登場人物の相関関係があまりに出来すぎのご都合
主義なのは眼をつぶるとしても、やはりクライマックスを
もっと盛り上がらせて書いて欲しかった。あの終わりかた

はないでしょう。しかし、面白いので暇つぶしにはもって
こいだと思う。

ディケンズ節炸裂となるか! ★★★★☆
この作品ってディケンズとしては失敗作でしょう。最終盤は破綻しているところがあるし、無理がある。サルも木から落ちる、とはこのことを言うんでしょうな。それでも凡百の作品群から見れば充分すぎるほどの内容なんだけど。物語を楽しむと言う姿勢ならばドストエフスキーの作品よりも、失敗作だがこっちのほうがいい。『大いなる遺産』の方がいろんな面でうわまわってるんだけども、さ。

ディケンズの魅力は独特の「節回し」にある。洗練されてるわけじゃあないんだけども、とにかく読ませる。分量が多くてもとにかく読める。ジョン・アーヴィングなんかのようなストーリー性を重視する作家が神様のように崇めてるのも当たり前。まあ、『大いなる遺産』を読んだ後なんかにこの作品を読めばいいんじゃないですかねぇ。

裁判長、これで私の答弁を終わります。