『Andy Warhol Catalogue Raisonee』のプロジェクトは1977年、トーマス・アマンによりスタート。1993年には編集委員であるゲオルク・フライとニール・プリンツが初期調査を開始。その後もキナストン・マクシャイン、ロバート・ローゼンブラムといった一流キュレーターや美術史家たちのアドバイスをもとに着々と進行していった。またこのプロジェクトにはウォーホル財団の専門家たちもじきじきに参加。彼の死後発見された膨大な資料(約1500にもおよぶ段ボール箱、ファイル、トランクに詰め込まれた絵画作品や重要メモ、書簡、ジャンク・メールなど)の徹底的見直しに着手している。
編集委員たちの調査の手は美術館所蔵品にも及んだ。ときに美術館側と激しくやり合いながらも彼の作品をウォーホル作品鑑定委員会に提出、再評価を実施している。さらに彼のもと助手や同僚たちのインタビューをもとに独自のデータベースを構築、他に例を見ないほど体系的にウォーホル作品をまとめあげることに成功した。しかも収録作品すべてに解説付きという空前のプロジェクトだ。タイトル、作成年、媒体名、寸法、現在の所有者名はもちろんのこと、署名の有無、出所、出展された展覧会名、関連文献といった項目別の注釈は必見。さらに作品がつくられた歴史的背景、共通テーマ、アトリエでの秘話がわかる一般入門書も紹介されている。作品制作にあたり彼が参考にしたと思われる情報、たとえば他のアーティスト作品やアトリエ評、展覧会評、および当時の新聞記事や広告、スープの缶や広告スチール写真などにも言及している。
シルクスクリーンによる有名なキャンベル・スープ缶、マリリン・モンローやエリザベス・テイラー、エルヴィス・プレスリーといった時代の寵児たちをモデルにした作品や初期の自画像など、ウォーホルの代表作が収録された決定保存版。(Book Description)