中西部から大西洋にかけた北米の東側には、かつて落葉樹林が広がっていた。何世紀にもわたる人間の侵略により、森のほとんどが伐採されたにも関わらず、森は時代を越えて今もなおその魂を伝えている。今日でも、人間がちょっと目を離している間に森は蘇生のプロセスを歩むのだ。そして最も素晴らしい庭、最も幸せをもたらす庭とは、大地の自然を取り入れた庭だといえる。

   受賞歴もある作家リック・ダークが手がけた独特の発想と斬新なアイデアが満載された本書では、森林の生命力と可能性に注目した庭の美しさが提案されている。光、音、香りや四季折々の変化、樹木の配置などの建築的な要素など、著者はあらゆる点からその効果を取り入れているのだ。

   森林植物はアルファベット順に整頓させていて、どのような庭にも役立つアドバイスを掲載。特に森の美しさを演出するのにピッタリな天然の樹木や低木、つる草、シダ類、芝生、スゲ、そして花を咲かせる多年生植物などが取り上げられている。また、著者自身が撮影した700点以上の素晴らしい写真は、自然の大地に生息している植物の姿と、それらを庭に取り入れた時の姿の両方を映し出している。

   本書『The American Woodland Garden』は、自然界と私たちの関係を新たにハッと気づかせてくれる1冊なのだ。これまで、アメリカでのガーデニングに対する考え方に影響を及ぼしてきた伝統的な手法に、一石を投じることだろう。