現代社会における企業の支配的な役割は、そうした「罪なき欺瞞」のひとつの形式であり、一般にイメージされるように消費者や株主ではなく、経営者がどのようにして実質的な権力を維持しているのかを説明している。「所有者にふさわしい外見」にもかかわらず、資本主義は企業官僚主義に道を譲った。「それは、課題と報酬をコントロールする官僚主義だ。報酬は窃盗にも等しい」とガルブレイスは指摘する。
彼はまた、どのようにして、公共部門が民間部門によってコントロールされるのかを説明している。「国防総省が依然として公的部門であるにもかかわらず、その意思決定に対する企業の影響力について疑いを抱く人は少ない」。さらに金融界は、「大規模で活動的で見返りの大きなコミュニティーであり、強制的であると同時に巧妙に仕組まれた無視の上に成り立っている」という。そして、とくに連邦準備制度については、「もっとも権威ある欺瞞の形式であり、『もっとも優雅な現実逃避』である」としている。基本的には、連邦準備銀行は大きな権力と地位を有しているが、実際に効果の上がることはなにもしていないとガルブレイスは言う。そして、この点についてはささいな問題だと考えている。「彼らの効果のない役割が受け入れられ許しを得られるようにしよう」ということだ。
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