eラーニングからブレンディッドラーニング!?
★★★★☆
本書は,現在の教育現場におけるeラーニングの活用状況を精査し,「eラーニングからブレンディッドラーニングへ」というタイトルをつけたのだろうが,果たして本当にそういう状況になっているのかどうか甚だ疑問である.
eラーニングはeラーニングとして,例えば資格取得のための講座として配信されているし,語学教育においてはeラーニングシステムを活用した独学で十分に学習が成立する.これらの事例は紛れもなく“独学を支援する”という初期のeラーニングの目的を十分に果たすものである.一方,ブレンディッドラーニングは,主に学校教育などの遠隔地に点在する受講者を意識しないで授業を展開することができる場合に効果的な手法である.これは,eラーニングシステムの使い方のひとつの方法として後になって使われ始めたものである.
つまり,eラーニングは,本来の目的である“独学を支援する”システムは厳然として存在を確立しているし,ブレンディッドラーニングは,またeラーニングシステムの集合教育における使い方として存在を確立している.このような理由から,「eラーニングからブレンディッドラーニングへ」というタイトルはいささか勇み足のように感じられる.著者の皆さんがそのように思われているのであれば,失礼ながら勉強不足かな.
翻って本書の内容はなかなか整理されていて良いと思う.初心者のための教科書,初学者のための入門書としての位置づけであれば読んでみることを大いに推奨する.本書を草稿されるとき大上段に構えすぎたのでは.
タイトルをもう少し考えるべきだったのではないでしょうか.