本書はそのプロジェクトを題材とした小説である。一部は脚色されている部分もあろうが、多くはそのプロジェクトの事実に基づくものであると推測される。この著者、新田次郎その人こそが、気象庁でこのレーダー建設プロジェクトを率いたリーダーなのだから。だから、本文からは、その時その時の緊張したやりとりがひしひしと伝わる。テレビでは伝わらない、そして伝えることができなかった人間ドラマをかいま見ることができる。番組を見て感動した人はもちろんのこと、そうではない人にもぜひ読んでいただきたい。