本書は、整体の技術論ではない。「整体の現場から見た哲学的身体論」である。
現実に体に故障がありそれを治そうと思う人が本書を手にしても、治療法について書かれているのはほんの10ページ程度である。では本書のかかれているのは何か。それは、次の2点である。
1)古今東西の哲学者が「身体」をどう捉えているか
2)著者の下に来る患者の症状と現代社会が抱えるさまざまな問題点との関連
直近の身体的症状への治療には向かないが、広く大きな意味で現代社会と「身体」をどう捉えた上で生きていくか、を考えるには好適な書だ。