ネヴァダ・バーの愛読者のあいだでは公然たる事実だが、彼女はストリッパーでもラスベガスの弁護士でもなく、大自然を舞台にした素晴らしいミステリーを書き続けている元女優、そして元国立公園管理官（パーク・レンジャー）である。バーの分身であるパーク・レンジャー、アンナ・ピジョンは今回もまた、精神と肉体のキレを同時に求められる事件に直面する。今回の舞台はジョージア州海岸沖のカンバーランド島だ。昔そこに暮らしていた大富豪たちの面影が、現実世界の殺人犯たちの周囲に色どりを添えている。バーはいつもと変わらぬ巧みさで真実味のある数々のシーンをつくり上げている。背景の描写は細やかで美しいが、決してロマンチシズムに走ってはいない。これまでの著書に、『Firestorm』、『Ill Wind』（邦題『死を運ぶ風』）、『A Superior Death』（邦題『極上の死』）、『Track of the Cat』（邦題『山猫』）がある。